フォステイルと錬金術と月の女神

ver.5.4で向かう事となる銀の丘と光の郷フィネトカ

謎の多い人物でもあるフォステイルと錬金術について、そしてそれに関わってver.5.5以降に判明するか期待していることについて。

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以下ネタバレを含みます

 

フォステイルと錬金術

ver.1から登場し不思議な能力を持ち、メギストリス王国初代の王であったフォステイルは現在の王国の指導者であるラグアス王子の祖先にあたる人物です。

 

そのフォステイルが起こした奇跡によりバズズシルバーデビルに変えてしまったと語られている場所が銀の丘です。

 

それが事実だったのかはわかりませんが、銀の丘の先にある銀の森の中にある光の郷フィネトカでは森にたちこめる深い霧に関してフォステイルが起こした奇跡によるとは語られてはいませんでした。

 

しかし、フォステイルが過去にアルウェ王妃に三つの願いが叶うノートを渡した場所であり外伝クエストである「愉快なオルフェアっ子たち」でも最後に主人公と再会する場所である事から彼にゆかりの深い場所である事は確実でしょう。

 

銀の丘、シルバーデビル、銀のノートと「銀」と関りがあるフォステイルですがそれには理由があるのでしょうか。

 

フォステイルという名前は「フォックス・テイル=狐の尾」から来ていると考えられプクリポの中では独特の顔つきからも狐をイメージしてしまいます。

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フォステイルの肖像画

狐と銀ですが、江戸時代の随筆「宮川舎漫筆」に登場する善弧である銀狐から来ていると考えられます。

※善狐は人間に福をもたらすと考えられた狐たちの事で、「狐ものがたり」という作品の中では5種類、天狐・金狐・銀狐・白狐・黒狐がいると書かれているようです。

逆に人間に害をもたらす狐の事は野弧と呼んでいたようです。

 

しかし、銀が関わるのは銀弧からだけではないように思われます。

 

それは彼が初代国王を務めた王国の名であると同時にかれの妻の名であった「メギストリス王妃」が関係してきます。

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メギストリス王妃の肖像画

メギストリスの名の由来は

ヘルメス・トリスメギストス( 古代ギリシア語: Ἑρμῆς Τρισμέγιστος)であると考えられその意味は「三重に偉大なヘルメス」です。

 

ヘルメス・トリスメギストスは古代錬金術の祖とも言われモーセ出エジプトより以前のエジプト王朝の人物でありキリストの誕生を預言したなど様々な伝承が残る人物です。

 

彼が書いたとされる「ヘルメス文書」・「エメラルド版」の写しはルネサンス期のヨーロッパにおいて錬金術師や神学者に絶大な影響を与えたとされています。

 

この錬金術の祖の名前を由来に持つ妻が居た事からフォステイルと錬金術の関りはとても深いと想像されます。

 

古代エテーネ人だけでなくプクリポの中にも錬金術に精通した者たちが存在していたのか、メギストリス王妃自身が偉大な錬金術師であったのか、はたまた遠い未来から飛ばされてきたプクラスの伝えた科学技術が錬金術として見られたのかなどは今の処はわかりません。

 

次ではその錬金術と銀について

 

 

錬金術、銀と月と死の世界

錬金術において錬金術金属7種類(金・銀・水銀・銅・鉛・鉄・スズ)のうちのひとつされており錬金術占星術神秘主義では銀は月と関わる金属だという考えがあります。

 

銀は女性的な金属で女神を象徴し、スピリチュアル的に予言・癒し・知恵のエネルギーをもつという考えもあるようです。

※ヨーロッパの一部では新月の日にポケットの中に銀貨を入れておくと2倍になるという言い伝えがあるようです。

 

錬金術と関わるフォステイルと銀の丘・銀の森その先にある女神ルティアナに仕えた者たちの末裔が住む光の郷フィネトカ。

 

これは偶然ではない気がします。

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銀の鉱石マラソン金策するデバリポ

女神を象徴する「銀」というキーワードで考えてみると、まさに銀の丘銀の森女神の丘・女神の森と言い換えることができフォステイルと女神ルティアナを繋げることになるのではないでしょうか。

 

ただ、フォステイルが本当は何者なのか、フィネトカ出身なのか六聖陣の末裔なのかなどはまだわかりません。

未来を預言し、現実を書き換えてしまえるほどの魔法アイテムを作れる能力は六聖陣どころか神にも匹敵する存在だと思われますが本当の正体はまだ謎です。

 

さらに銀は月のシンボルとしても使われていたという部分は、

ルティアナ=月(ルナ)の涙(ティア)の造語だという説に立ってみれば創世の女神ルティアナが月の女神であるという確証になるのかもしれません。

 

アストルティアの創造神が月の女神という事に違和感を持つ方もいるかもしれません。

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月の世界

創造神は全知全能や太陽神の性質を有しているほうがイメージ的はぴったりかもしれませんが個人的にはルティアナは月の女神の方が明らかにしっくりきます。

それは今までブログとして書いてきた事と関わりますが、ルティアナの創世したアストルティアという場所は夜の世界だと考えるからです。

 

ver.1から何度も繰り返される主人公の死と復活、太陽の無い常闇の世界であるナドラガンドとver.3で語られた竜族の神であり父であるナドラガ・オルストフとの決別・自立と新たな旅だち。

 

そして大魔王でありながら太陽神としての性質をもつマデサゴーラとユシュカ。

 

大魔王が太陽神で、その大魔王から守ろうとしているアストルティアが夜の死の世界という今までの王道RPGの世界観と逆転した構図がドラクエⅩには隠されてい居るのではないかと考えています。

 

夜の空に浮かぶ月は、死後の世界や不吉や呪いを呼ぶ存在、または人を狂わす事があるという話は古い時代には世界の各地にあったようです。

 

平安時代の日本でも貴族たちは決められた日以外に月を見ることは不吉とされ、月光浴は禁忌とされていたようです。

竹取物語の中で、かぐや姫が月を見て物思いにふけっているのを、月の顔をみるのは不吉なのでとやめさせようとするという話が出てきます。

※高畑功監督の「かぐや姫の物語」では明らかに月を死後の世界ととれるような描き方をしていました。

 

では、なぜ創世の女神ルティアナが造った世界は夜の世界なのでしょうか。

 

世界はルティアナと共に滅ぶのか

創世の女神ルティアナの正体はドラクエⅨの女神セレシアであり、セレシアの父でありドラクエⅨ世界の創造神であるグランゼニスから創生の魔力を受け継ぎアストルティアを造ったといういうのが私の考えの基本にあります。

 

ドラクエⅨの世界はグランゼニスが死ねば、セレシアも天使も世界も滅ぶという設定でした。

グランゼニスが姿を消しても世界が滅んでいなかったのは、グランゼニスの体がバラバラにされ封印されていたからでした。

 

そんなグランゼニスが造ったとこしえの揺り籠が滅びの時を迎え、セレシアがそこを旅立ち長い旅の果てに、新たに女神ルティアナとして創生したのがアストルティアだったとするなら、創生の魔力の源は創造神グランゼニスと同質のものであると考えられます。

 

とこしえの揺り籠が滅んだということは創造神グランゼニスが死んだという事を意味しており、創造神の消滅する直前にセレシアが創生の魔力を受け継いだとするならグランゼニスという太陽が沈み夜・死の世界で創生の女神となったと考えられないでしょうか。

 

ルティアナは太陽の沈んだ世界の女神、つまり月の女神として誕生したと考えられます。

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そして、創造神グランゼニスに授けられた魔力で創生されたアストルティアはとこしえの揺り籠と同じようにルティアナが死ねば一緒に滅ぶ可能性も高いと思われます。

 

ルティアナは全ての生命が自分と運命を共にする世界を望んでいるのでしょうか。

 

ドラクエⅨの創造神グランゼニスは善を守るためには悪は滅ぼさねばならないというかなり厳しい側面を持った神でした。

 

人間を失敗作と決めつけ滅ぼそうとした時に諫めたのは娘の女神セレシアでした。

 

セレシア=ルティアナは神のいちぞんだけで世界の運命を決めてしまう事は望んではいないのではないでしょうか。

 

 

ルティアナとの別れ

ver.5.5前期が明日よりスタートです。

 

気の早い話ではありますがver.5.5前期と後期を通じてアストルティアに住む種族そして魔族にとっても創生の女神ルティアナとの別れが来るのではないかと予想しています。

 

それはルティアナが死ぬのかまたは永い眠りにつくのかはわかりません、自分の頭の中でもいまだによく整理は出来てはいないのですがver.3で竜族がそうであったように神からの巣立ちを果たしver.1のタイトルであった「目覚めし5つの種族」の通り人間・竜族・魔族を加えた8種族が真の夜明けの時を迎えるのではないかという気がしています。

 

また、ジャゴヌバの正体はセレシア=ルティアナを追ってきたドラクエⅨの創造神グランゼニスの妄念のような存在、もしくはセレシアが創生の魔力を受け継いだ時に切り離したグランゼニスの独善的な部分なのではないかと考えていますので、それに対する決着も描かれるのではないかと期待しています。

 

そして、それは父であるグランゼニスの独善的な部分を否定しと人間の和解を望んでいたセレシア=ルティアナにとってもその役割を終え、創造神グランゼニスとセレシアにとっても安息の時を得ることになるのではないでしょうか。

 

 

最後に

今回はフォステイルから錬金術を通してルティアナについて考えてみました。

考えがまとまっていない中、急いで書いたこともあり書ききれない事や普段以上に支離滅裂な内容になってしまいました。

 

ver.5.5がとにかく楽しみです、また何か発見や思うとこがあれば書かせてもらいたいと思います。

 

最後に今回書いた内容と関わるかもしれない記事を張ります。

 

kyuroinu.hatenablog.com

 

 

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kyuroinu.hatenablog.com

 

 

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今回はここまで

ネクロデア王国の滅亡事件と魔界情勢

いまから約200年前に滅亡した魔界南西部の大国ネクロデア王国、その滅亡事件から当時の魔界情勢と大魔王マデサゴーラの戴冠時期に関する考えを書いてみたいと思います。

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以下、ver.5.0以降のネタバレを含みます。

 

ネクロデア王国

ネクロデア王国は魔界南西部でクロダイト鉱石を含む鉱物資源の採掘と高い精錬技術で栄えた王国でした。

 

建国時期は不明ですが、片腕の男が暗鉄神ネクロジーからネクロダイト鉱石を授けられ神の命により堅牢な国家を造ったという独自の建国神話を持ち労働を神に捧げる尊いものと考えるというような独特の文化を育んできた王国でした。

※片腕という事で思い浮かべる神として北欧神話「軍神テュールが居ます。

テュールオーディンの息子(異説あり)で火曜日(Tuesday )の語源ともなっています。父であるオーディンは片目の神でありこの事がナジーンが片目となったことと関係があるかは分かりません。ナジーンは右目を失いますがオーディンは左目を失っています。

日本でも鍛冶の神天目一箇命(あめのまひとつのみこと)」は片目の神として有名です。昔は鉄の温度を確認するために片目で見る事から鍛冶職人の職業病として片目を失明するという伝承から片目の神となったとも言われています。

ジーンはユシュカと魔剣アストロンを制作しているので天目一箇命から影響されたキャラクターなのかもしれません。

 

ドワチャッカ大陸のアクロニア鉱山・アグラニの町の始まりの伝承と似た点もありますがネクロジーム神とイプチャル神に何か関りがあるのかなどは不明です。

 

クロダイトを含む豊富な鉱物資源と高い精錬技術により栄えたネクロデア王国ですが、今から約200年前、魔界西域に勃興した軍事大国バルディスタ要塞のゾブリス将軍の手によって滅ぼされてしまいます。

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鉄化されたゾブリス将軍

王族・兵士・民衆のほとんどはこの時に殺害されてしまったようですが王族の中で唯一の生き残りと考えられる王子ナジーと友人であるユシュカがゾブリス将軍を討ち鉄化による封印をしそのまま二人で国を去っています。

 

後にナジーンはユシュカが興した魔界南部の新興国ファラザード王国においてユシュカを支える副官として内政及び治安維持に大きな貢献をすることとなります。

 

ジーンに妻子が居たかは不明ですが子供が居なかった場合はナジーンが魔界大戦において戦死した現在、ネクロデア王国の王家の血脈は途絶えた可能性が高いと考えられます。

 

 

ネクロデア王国滅亡時の魔界情勢

ネクロデア王国がゾブリス将軍によって滅ぼされた当時の魔界はどういった情勢だったのか考えてみると何故滅んだのかが謎に思えてきます。

 

ネクロデア王国は当時、交易ルートの大部分をジャリムハバ砂漠の小国家群の一部に頼っているという事が記録からわかります。

当時のジャリムバハ砂漠は大魔王ヴァルザードが建国した海運都市ザードが滅び小国家が乱立する分裂の時期だったと思われます。

 

その小国家を通じた交易相手として大国であるゼクレスやゴーラの名前もあります。

交易相手としての記載はありませんが、他には150年前にバルディスタによって滅ぼされたジャムール王国もまだ魔界西域に存在していた時期です。

 

他にも主人公がユシュカと初対面の時の会話からゲルヘナ原野南には剣魔の里も健在だった可能性がありますが確定ではありません。

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まとめると

  • 魔界南部は小国家が乱立する状態で地域を統一できる勢力はなった
  • 魔界東部はゼクレス魔導国の支配下
  • 魔界西域には少なくともバルディスタ要塞・ゴーラ・ジャムール王国の三勢力が存在していた

というのが最低限確認できる200年前の魔界情勢だったと考えられます。

 

このような情勢下でバルディスタとネクロデアは争っていたわけですが、その中でネクロデア側はゾブリス将軍が独自に軍を動かしているという情報を掴んでいました。

これは、ネクロデアが送り込んだスパイもしくは交易を通じて他国からもたらされた情報だったはずです。

 

ネクロデアは鎖国状態の王国では無くネクロダイト鉱石の精錬技術はネクロデア王国が独占している価値のある物であり、その交易相手はゼクレス魔導国やゴーラといった大国が含まれています。

このネクロダイト関連の技術を奪うことが目的でバルディスタが攻めて来たのなら何故他勢力はそれを黙認したのか謎です。

 

そして、バルディスタはネクロデアを滅ぼしその技術を奪った功績にも関わらずゾブリス将軍を行方不明として処理し旧ネクロデア領を「賢女の都レジャンナ」の王族ネシャロットによって封印されるまま放置したのかという謎も残ります。

 

 

各勢力の反応を推測してみる

ネクロデア滅亡時の各勢力の反応はどんなものだったのか考えてみたいと思います。

 

①.魔界南部勢力

まずネクロデア王国との交易を独占に近かった魔界南部の勢力ですが、大きな衝撃が走ったはずです。

大事な交易相手を失ったと同時に旧ネクロデア領がバルディスタの支配地となれば軍事的な脅威が迫ることになります。

 

そこでレジャンナが代表する小国群は生き延びた王子であるナジーンとその友人ユシュカを保護し、ネシャロットがネクロデア領を封印することでバルディスタと直接領地が接しあうことを避けるという対応をしたと考えられます。

 

②.魔界東部勢力

魔界東部の大国ゼクレス魔導国としてもこの状況は危険だと考えたはずです。

 

兵器としても使われるネクロダイト鉱石の輸入が止まりバルディスタが新たな交易相手となりますが今まで通りの取引ができるとは限りません。

さらにバルディスタは勢力拡大の野望が強く、精錬技術を独占でれば魔界西域統一だけでなくゼクレスの勢力地域にも侵攻してくる可能性は非常に高いと予想できたのではないでしょうか。

 

二国の争いに介入し停戦させるもしくはネクロデア側に援軍として参戦するという選択肢もあったはずですがそれも行われなかったようです。

 

その理由ですが、当時はイーヴ王の改革失敗と失脚による混乱で内政で手一杯な状況であったためではないかと予想します。

 

約300年前にヴェリナード王国を訪れていたイーヴ王ですが、200年前にはすでに失脚していた可能性が高いと考えます。

200年前にはすでに少年時代のアスバル王子とユシュカが出合いユシュカはゼクレスを追放されていますが、その当時の事をアスバルは記憶しています。

 

イーヴ王によってアストルティアに連れていかれた幼少期の記憶がない事からイーヴ王が失脚したのはアスバルが物心つくより前であり200年以上前だったと考えられるからです。

 

イーヴ王を失脚させたエルガドーラ妃によって大貴族達との対立解消や内政の立て直しの最中で対外的に積極的な行動は不可能だったのかもしれません。

 

エルガドーラ妃自体が国政への手腕は確かだが軍事に疎くゼクレスの内側にしか興味がなかったことも影響したのかもしれません。

 

③.魔界西域

魔界西域では少なくても3つの勢力があったわけですが

 

③-1.ジャムール王国

ジャムール王国はおそらく、最後の王となったゴル・ジャムールの時代で金の枯渇により経済的に追い詰められた状況だったと考えられます。

 

ネクロデア滅亡から50年後にジャムール王国はバルディスタに攻め込み逆に一夜で滅ぼされたといわれているのでこの時代には国力が衰退し傍観しているしかできなかったのではないでしょうか。

 

ただ、すでに枯渇してしまたとはいえおなじ資源豊だったネクロデアが滅ぼされたことから次は自分たちなのではないかと疑心暗鬼となり後の侵攻への原因となったのかもしれません。

 

③-2.バルディスタ要塞

バルディスタの行動には不可解な点があります。

 

魔王ヴァレリアの常勝不敗の武によって支えられる軍事国家ですが、ベルトロ以外の部下はまったく信用されていない体制下において、独自の軍団を持ちある程度の自由な軍事行動が可能なゾブリス将軍は特別な存在だったはずです。

 

それは将軍が過去には魔王候補の一人だった時期もあるという、名声と実力がヴァレリア配下の中で突出していた事がうかがえますが、そんな将軍をヴァレリアはどう思っていたのでしょうか。

 

頼もしい部下だったのか、それとも自分の地位を脅かしかねない存在で理由さえあれば粛清したいと考えていたのでしょうか。

個人的には後者だったのではないかと考えています。

 

※ゾブリス将軍の単独行動はヴァレリアにとって自らの地位を危うくする可能性があったのではないかという推測を以前「ヤイルと戦争」という記事で書きました。 

kyuroinu.hatenablog.com

 

ゾブリス将軍の思惑が何であれ、自らが指示していない軍事行動であったとしてもネクロデア王国を滅ぼした事実に対し将軍を行方不明程度の処理で終わらせ、旧ネクロデア領の占領をせずに封印されるのも放置していたのかがとても不可解です。

 

滅ぼし奪いつくしたからもうどうでもよくなったのか、それともそうしなければならない事情があったからなのかで大きな違いがありそうです。

 

③-3. ゴーラ

大魔王マデサゴーラによって魔界西域の北部地域に建国された国家です。

 

資源のない地域と思われているようですがネクロデアはゴーラとの取引で「得がたい 産物」を入手できると記されているので交易は盛んだったようです。

 

軍事利用もされるネクロダイト鉱石を入手することはゴーラにとっては自勢力の南側に西域最大の勢力バルディスタ要塞がある以上とても重要な意味があったはずです。

 

取引相手を失うだけでなく、バルディスタとの軍事力の差が開き生存を脅かされる事態になったはずですがそれに対しどういった行動をとったのでしょうか。

 

さらに、200年前にはマデサゴーラは大魔王に就任していたのか否かによっても情勢は大きく変わったはずです。

大魔王の本拠地が経済的・軍事的な損害を受けるような形での侵略戦争を起こしたバルディスタになにも制裁を加えないという事がありえるのでしょうか。

 

ゴーラの態度は不明ですがもう少し考えてみたいと思います。

 

 

200年前マデサゴーラは大魔王だったのか

ネクロデアが滅ぼされた当時ゴーラの魔王マデサゴーラは大魔王として戴冠を受けていたのかは魔界の情勢を考えるうえでとても重要です。

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マデサゴーラ作 戴冠

まだ大魔王ではない時期であったなら、ゴーラとバルディスタとの戦力差が大きく一国で対抗することが不可能でなおかつ魔界西域という魔界の辺境で差別的にみられてる地域の魔王を援助しようという大国もなかったの知れません。

イーヴ王時代のゼクレスならその可能性はあったでしょうが王が失脚しゼクレス自体が混乱の中だったのならそれもできなかったはずです。

 

魔界西域という呼び名について触れた過去記事です 

kyuroinu.hatenablog.com

 

しかし、もし大魔王となっていた場合には無断で侵略戦争をしかけ貴重な資源と技術を有するネクロデア王国という大国を滅ぼす軍事行動は大魔王の治世に対する挑戦であり許されない事であるはずです。

 

さらに、それを見逃していたとなると大魔王としての権威にも傷がつくはずですが、それでも制裁も加えることができないほど立場の弱い大魔王だったのでしょうか。

 

大魔王城の会議室にある「魔界紳士録」をヒントに考えてみたいと思います。

 

魔界紳士録で主人公が手に取れるものには、

名簿には 魔王モルゼヌ ゾブリス将軍
魔元帥ゼルドラド など
ひと昔前の 名士たちの名が 記されている。

と、書かれています。

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魔界紳士録を読む素っ裸

 

モルゼヌスはネクロデアの最後の王ですので、魔界紳士録が大魔王マデサゴーラ時代の物なのかそれ以前の物なのか気になるところです。

 

エス「新たな武器をこの手に」で出会う亡霊となった伝説の鍛冶職人レブロの話はネクロデアが滅ぼされた200年前には大魔王の座には誰も就いていなかったような印象を受けます。

 

しかし、個人的にどうしても魔界紳士録の内容とこの話が合わない気がします。

 

主人公が読んだ魔界紳士録がマデサゴーラ時代のものでないとするならネロドス時代かそれ以前、少なくとも1000年以上前に発行されたものとなります。

 

1000年以上前であるのに、ゾブリス将軍魔元帥ゼルドラドは現在と同じ称号で呼ばれていたのでしょうか。

 

将軍とは一軍を統率する指揮権を持つ者の称号の一つもしくは軍閥の指導者の地位に対する呼び方ですので、ゾブリスがヴァレリアの配下になる前にどこかの国の将軍の地位にいたということはあり得るかもしれません。

 

しかし、魔元帥ゼルドラドの元帥という称号は将軍たちをも束ねる軍隊の中での最上級の階級であり戦争においては王の補佐役を務める役職でもあります。

 

現在登場している魔界の人物の中にも元帥の肩書を持っているものは居ません。

 

魔元帥の称号をゼルドラドが1000年以上前から持っていたとすればかなりの大国もしくは大魔王に仕えた軍のトップにこそ相応しい肩書のように思えます。

それはどこの国だったのでしょうか。

 

血統が重視されるゼクレスでは不可能でしょうし、ネロディオス覇王国や海運都市ザードの軍のトップだったのでしょうか。

 

以前にTwitter上で歴史の中では自称将軍・自称元帥も存在していたと教えていただいたのでゾブリス将軍も魔元帥ゼルドラドもあくまで自称だった可能性もありますが大魔王の即位記念に出される紳士録に自称将軍の地方の一軍閥や大規模な野盗集団の首領が記載されるのかという疑問もあります。

 

さらに気になるのは魔界紳士録というのに魔王の名前がモルゼヌのみというのも気になります。単純に主人公が読み飛ばしているだけとういのもあるかもですが。

 

ネロドスやヴァルザード時代の魔界各地域の魔王の名前はわかっていませんが少なくとも現存する魔界最古の国家であるゼクレス魔導国には魔王は居たはずです、ゼクレスの魔王となればそれだけで名士として記載されておかしくないはずですがその名もありません。

 

そこで推測になりますが、この魔界紳士録が制作されたときには紳士録に掲載されるような魔王が少なかったもしくは居なかったあるいは大魔王の意向で掲載したくない魔王が居たという可能性はないでしょうか。

 

もし、主人公が読んだ魔界紳士録が大魔王マデサゴーラの時代に制作されたと仮定し、それがネクロデア王国が存在していた200年前より昔に制作されたとすれば、

  • ゼクレスは300年ほど前になるとイーヴ王が失脚しアスバルが王位に就く前の空白期間に当たるので魔王が不在だった
  • 魔界南部はユシュカがファラザードを建国する以前なので小国家が乱立する状態で大きな力を持つ魔王は居なかった可能性が高い
  • バルディスタはすでに建国されゾブリス将軍も仕えていたが何らかの事情により魔王ヴァレリアの名前は記載できなかった

と考えることはできないでしょうか。

 

強引な仮定ですし、何故に魔王ヴァレリアは掲載されなかったのか、レブロは大魔王は居なかったととれる発言をしたのかがまだ謎として残りますが、その謎がネクロデア王国の滅亡の原因と当時の魔界情勢を明らかにするのではないかと考えています。

 

 

大魔王は無条件には承認されない

ネクロデア滅亡時に既に大魔王マデサゴーラが選定されていたという前提で、鍛冶職人のレブロの亡霊が200年前に大魔王が居なかったかのような発言をした背景としてネクロデア王国がマデサゴーラを大魔王として承認していなかったという可能性はないでしょうか。

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ネクロデア最後の魔王モルゼヌ 息子さんと似てないですね

大魔王は大審門が開く時期に試練を乗り越えた者の中から、魔仙卿に「器」として相応しいと認められたものが大いなる闇の根源の一部との戦いを経て大魔王として選定を受けるというものですが、主人公がそうであったように同じく試練を生き延びた大魔王候補やその他の勢力に選定を受けたからといって、即大魔王として承認されるわけではないようです。

 

魔仙卿による器としての審査は個人的な贔屓や狙いが含まれてもいいようですしヴァルザードのように大魔王の選定を受ける前から確実視される存在の方が少ないのかもしれません。

さらに、モルゼヌとマデサゴーラは大魔王の選定をめぐって争った関係だったなんてこともあったらどうでしょうか。

 

そうであるなら、主人公がそうだったように魔界西域を統一したわけでもなく西域最大勢力でもないゴーラの魔王が大魔王の選定を受けたとしてそれを他勢力が承認するには一定の功績を求められたのかもしれません。

 

ネクロデア王国としてはマデサゴーラをまだ大魔王として承認しておらず自国の領民に対しても新大魔王はまだに正式決定していないと伝えていたのかもしれません。

 

次に、バルディスタ要塞ですが魔王ヴァレリアは本心はともかく表面上は勢力拡大を狙うが大魔王就任に関しては興味がなく、さらに誰が大魔王になろうとも自国の行動に制限はかけさせないという態度をとったのではないかと考えます。

 

ver.5.0でもユシュカに説得されるまで大魔王の選定には参加したがってはいませんでしたし魔界統一も果たしてない状況でもバルディスタ単独でアストルティアに侵攻していますし、大魔王選定後も主人公を認めず独自に大魔瘴期対策を進めようとしていました。

おそらくマデサゴーラが大魔王に選定された時にもこういった態度を示したと思われます。

 

それには理由があり、ヴァレリア体制の求心力は彼女自身の常勝無敗の武によって保たれており大魔王選定に赴きそこで万が一にでも負け、新大魔王の風下に立たなければいけない状況になれば、魔界西域に武力でようやくもたらした安定が一夜にして崩壊してしまう危険があるので彼女としてはそのような態度に出るしかなかったと推測します。

 

大魔王そのものを認めない態度をとるバルディスタはゴーラと国境を接している事もありマデサゴーラにとっては邪魔な存在だったかもしれません。

よって魔界紳士録にヴァレリアの名が乗ることを良しとせず削除させた可能性はないでしょうか。

 

それでもヴァレリア配下のゾブリス将軍の名前は載っているという事には何か意味があるのでしょうか、もしかしたらそこにマデサゴーラの思惑があったのかもしれません。

 

 

マデサゴーラ黒幕説

200年前、マデサゴーラがすでに大魔王だったのか魔王でしかなかったのかに関わらず今わかる範囲で当時の情勢を彼の視点で考えてみると

 

  • 魔界東部は自勢力から遠く魔王不在であり脅威ではない
  • 魔界南部は自勢力から遠く小国乱立で指導者が不在で脅威はない
  • 魔界西域はバルディスタ要塞という軍事大国が拡大を続けている
  • 魔界南西部は交易相手ではある大国ネクロデア王国がある
  • バルディスタとネクロデアは争っているが膠着状態

 

当時の魔界でマデサゴーラにとって脅威となり、なおかつ安定した大国はバルディスタとネクロデアの二か国だったのではないでしょうか。

 

この状況で、マデサゴーラは自らの野望と理想実現のために一気に事を進めようとしたのではないかという説を唱えてみたいと思います。

 

現在は膠着状態でもいつ均衡が破れてネクロデアが負けるかはわからない。

バルディスタという暴れ馬に単独で対処すれば勝っても代償も大きいかもしれない。

これでは魔界に安定は訪れず偉大な芸術家としても理想実現が遅れてしまう。

 

そこでマデサゴーラはバルディスタのヴァレリアを排除しトップを自分の息のかかった人物に置き換えようと画策したのではという考えです。

 

その策略は

①.常勝不敗のヴァレリアが攻め落とせないネクロデアをその部下で独自の軍団を持つゾブリスに落とさせるためにゾブリスを間接的に唆すもしくは大魔王としてその許可を秘密裏に与え協力する。

②.ゾブリス将軍がそれに成功すればバルディスタ内での力関係に変化が生じヴァレリアの求心力は低下し下克上が発生する可能性がある。下克上とまでいかなくとも確実に力を削ぐことができる。

③.ゾブリス将軍がバルディスタのトップに就けばヴァレリアよりも懐柔しやすく旧ネクロデア領の資源を優先的に入手できるように手配させるもしくは共同管理できる。

もし、ゾブリス将軍が失敗したとしてもバルディスタの軍事的・対外的ダメージは避けられずその時は自らが号令をかけネクロデアへの救援とバルディスタ包囲網を作って締め上げていく。

 

これに成功すれば魔界の西域と南西部は一気にマデサゴーラ傘下に加わりゼクレスや他の勢力も彼を認めざるを得なくなるというシナリオだったのではないでしょうか。

 

この布石のためにも魔界紳士録にはヴァレリアの名は載せず、ゾブリス将軍の名前はいつ魔王になってもいいように載せたのかもしれません。

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なんと恐ろしい謀略

 

しかし、この策略は失敗してしまいます。

それはゾブリス将軍はネクロデア王国を滅ぼす事には成功するが、王子ナジーンとその友人ユシュカによって討たれ封印されてしまうという予期していなかった状況になってしまった事です。

 

さらに賢女の都レジャンナの動きも早く、事件を隠蔽するかのように旧ネクロデア領を封印する事で亡命してきたナジーンとユシュカを守るという行動に出た為に様々な情報が遮断されてしまい状況が不透明になってしまった。

 

これによってマデサゴーラとしてはゾブリス将軍という協力者を失うと同時にヴァレリアを追い詰めるには決定打に欠ける事になってしまい、バルディスタ側も体制維持のために将軍を行方不明扱いにすることで魔王が部下に出し抜かれたという事実をうやむやにし他勢力からの追求なども回避しようとしたと考えられます。

 

マデサゴーラの謀略は失敗に終わりましたが、その後一応は大魔王として魔界の戦乱を平定しアストルティアへの遠征を行っていることからしばらくの時間をかけてでもバルディスタを抑え込んでいく事に成功したのだと思われます。

 

このあたりの両国の駆け引きなどはもしかしたら魔元帥ゼルドラドとベルトロの間で腹の探り合いをしながらおこなわれたのかもしれません。

むしろそういう話が読みたいと思っています。

 

 

最後に

今回は200年前の魔界の情勢を考えながら最後は陰謀論的な展開をかきましたが、少ない資料から色々と考えることはあいかわらず楽しいです。

 

ゴーラとバルディスタの勢力争いの犠牲になってしまったかもしれないネクロデアの住民たちですがそうならばあまりにも悲しい事です。

王族の生き残りであったナジーンは死にもう国として復興することはありません。

 

アバノク祭司長の亡霊は

私たち 亡者が消え去った後は

いずこからか 人々が この地を訪れ

新たな暮らしを 始めていくことでしょう。

と、語ります。

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お祈り

土地が再生し新たな生活が始まってもそれは別の国であってなにか虚しいものをかんじてしまいます。

 

それでも、旧ネクロデアの住人たちの魂は不滅なはずです。

それはナジーンがその命をかけて仕えたファラザードの王ユシュカは不死鳥ベンヌの化身であるからです。

 

※ユシュカの性質に触れた内容を含む過去記事です。

kyuroinu.hatenablog.com

 

ジーンの魂が今もユシュカと共にありその炎を燃え上がらせているようにネクロデア住民たちの魂もナジーンと共にいつの日か復活できると信じます。

 

今回はここまで

邪教徒たちの祈り

今回はver.5.4で追加された新職魔剣士のクエストで訪れたある場所とその周辺モンスターから歴史を考えてみたいと思います。

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ロトの印にも似たデザイン

以下ネタバレを含みます

 

 

古跡の井戸へ

三門の関所からグランゼドーラ城へ向かうために通るレビュール街道ですが、ver.5.4で追加された新職「魔剣士」のクエストでレビュール街道南にある遺跡地帯を抜けた先にある古跡の井戸へ入ることが可能となりました。

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古跡の井戸

古跡の井戸がある場所へは現代では遺跡地帯の壁が崩れた場所から行く事が可能ですが、約1000年前の古レビュール街道では壁が崩れていないため行くことはできません。

 

遺跡地帯は1000年前の段階ですでに遺跡地帯と看板に書かれていますのでこれらの遺跡群が建造されたのは1000年以上前であり、古跡の井戸のなかの建造物も遺跡群と同時代もしくはそれより前に建造された可能性があります。

 

実際に古跡の井戸の中に入ってみると、井戸というよりは古代の巨大地下貯水槽の入り口だったのではないのかと考えられる構造になっています。

貯水槽とはいってもその全体像は見えないほど大きく、方角では南・東・西へ長く水路が続いています。

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地下貯水槽?

地図上の表記は「古跡の井戸ー地下道ー」となっています。

 

貯水槽としてだけでなく水路として船などで人や物資の移動を担う役割があったのかもしれません。

もしくは、現在は手入れがされていないので雨水や染み出した地下水が長年かけてたまり貯水槽のように見えているだけで実際にはレビュール街道南に建造された巨大な地下道で利用されていた当時は馬車や徒歩で人が往来していた可能性もあります。

 

内部の建築様式、壁や柱の装飾、石像の見た目などは基本的にレビュール街道にある遺跡群と酷似しておりそのことからもこの地下道を建造した人々はレビュール街道の整備をおこなった人々と同一だと考えられます。

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レビュール街道などに見られる紋様

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現在のグランゼドーラ城にも似た紋様が

レビュール街道にある遺跡群と現グランゼドーラ王国領とでは建造物の大きさや装飾が異なっていますが、その配色や現在でも使われている紋様など共通点もあります。

 

よって、少なくとも古跡の井戸を含めた遺跡群が建造された時代は神話時代の末期に「勇者アシュレイ」がレビュール街道も含めたレンダーシア大陸北西部に住む諸部族をまとめ神聖ゼドラ王国を建国した後の時代に造られたと考えられます。

 

 

井戸の中の神儀の護堂

古跡の井戸の中には「神儀の間」が隠されていました。

 

神儀の護堂が遺跡地帯の入り口に約1000年前まで存在していましたが現在では入り口が崩れていて入ることはできません。

 

神儀の護堂の「神儀」ですがこれは「置字」といわれる位牌などの戒名の下に書かれるものでその中でも昔の将軍家や大名など地位の高い人に使われる「尊儀・神儀」から来ていると思われます。

 

位牌そのものが死者の魂の依り代となる場所なので、死者の魂に贈られたものとなるでしょう。

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継承の間

1000年前の神儀の護堂の最深部「承継の間」では、

禁忌の術にて 邪悪なるチカラを封じ

その 代償として 人ならざるものと

成り果てたる魂 ここに 眠る

かつての名を捨てし 我ら

秘術の番人として とこしえに 神儀を守らん

 

と書かれています。

岡山県の神社では神儀という神事があり、そのなかでは猿田彦と獅子舞が悪魔払いをするという踊りもあるようですが、この神儀も由来として関係しているかもしれません。

 

神儀の護堂は、禁忌の術を使用した人たちの魂を祀るために造られたと思われます。

神儀の間もおそらく同じく魂を祀る場所として造られたと思われます。

 

では、禁忌の術を使って、おそらく大魔王軍など魔界勢力と戦った人々の魂を祀った場所がなぜ井戸の中の地下に置かれていたのでしょうか。

 

ドラクエシリーズの世界では井戸の中に宝箱や住む人がいるのはよくありますが、現在の古跡の井戸は「邪毒のウィーヌム」の隠れ家となっておりおそらくこの場所を知っている利用している人々はほぼいない状況だと考えられます。

 

地上にある神儀の護堂入り口が使えないままにされレビュール街道全体が破壊され修復もされていない状況である事も併せて考えると古跡の井戸の下にある神儀の間は秘密にするため、発見されないように地下に造られた可能性はないでしょうか。

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古跡の井戸にかくされた神儀の間

個人的にはこの神儀の間を造った人々は邪教徒であったと考えます。

 

なぜ邪教徒であると考えるのかそして邪教徒とは誰の事であるのかを考えてみたいと思います。

 

 

遺跡地帯と邪教

 

レビュール街道の現在と1000年前では自然環境や生息しているモンター種類に変化がありますが、遺跡地帯を徘徊しているモンスターだけは1000年前と変わりがありません。

 

「だいまじん」「ミステリピラー」です。

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1000年前も現在も生息してるモンスター

この2体の豆知識をみてみると、

  • ミステリピラーは邪神の神殿を支える柱に魂が宿ったモンスター
  • だいまじんは神像が魔王に寝返ったモンスター

と魔王や邪教と関りがあるモンスターですが、だいまじんの生息地は魔界・ウェナ諸島などとひろい範囲ですが、

ミステリピラーは古レビュール街道南・真のレビュール街道南・神儀の護堂と遺跡地帯だけに生息しています。

 

モンスターの豆知識にはいろいろ矛盾があるものや後に設定で変えられてしまったモンスターなども居ますが、仮にこれが正しいと仮定してみると

 

レビュール街道の遺跡地帯にはかつて邪教への信仰が盛んだった時期があったという事になるのではないでしょうか。

 邪教徒たちによって遺跡が破壊されたとも考えられますが、それはいつ頃なのかという事になります。

 

1000年前の大魔王ネロドスの侵攻時期かもしれません。

アストルティアにはダークドレアムを召喚しようと企んだ団体など邪教ともいうべき存在は有るので魔界からの侵略を歓迎する勢力が居たもしくはネロドスに唆されて邪教徒となったという可能性は考えられます。

 

ただ、ネロドスは当時の勇者アルヴァンによって倒され残された魔軍十二将も叡智の冠によって封印されました。

一時的な侵攻に呼応して盛り上がった信仰であるなら大魔王が敗れた後は急速に勢力は衰えたと考えられます。

 

三門の関所を抜け王都までの街道沿いですから邪教徒が破壊したのなら復興がされるはずですがそれもなされていません。

邪教によって生み出されたミステリピラーが今でも闊歩している理由はあるのか。

 

破壊され廃墟化している遺跡が放置されている事から、あの遺跡地帯そのものが邪教徒によって造られからの現状だと考える事はできないでしょうか。

 

その邪教徒とは誰だったのか

 

 

邪教の正体

ドラクエの世界で邪教といえば大魔王などの手下の集団で世界征服のための手先となているような印象があります。

ドラクエⅤの「光の教団」ドラクエⅩでいえば邪教祖サダク」のような存在です。

 

現実の世界で邪教といえば必ずしも悪魔崇拝をしているような団体というわけではありません。

 むしろある宗教団体から見て他の宗教を非難するときや統治者が意にそぐわない宗派を弾圧するときにの口実として邪教という用語が使われることが多いかもしれません。

 仏教の中でも宗派が違えば相手を邪教として非難した歴史を持つ宗派もあります。

 

この話がドラクエⅩの世界に適用されるならアストルティアの住人の中でも宗派の違いや政治的対立から邪教徒認定され迫害されることがあるという事になります。

 

女神ルティアナだけでなく各大陸の種族神やダーマ神、山の神イプチャルなど数多くの神々が信仰されているアストルティアですがこれらの信仰が迫害されないのはその時々の統治者の利益と反しないからであるはずです。

 

では、レビュール街道の遺跡地帯でその時の統治者である神聖ゼドラ王国もしくはグランゼドーラ王国に邪教徒と認定された人々が居たとしてそれは誰だったのでしょうか。

 

それはレビュール族かもしれません。

 

以前書いた記事で、初代勇者である双子「アシュレイ」「レオーネ」とアシュレイが建国した神聖ゼドラ王国につて現在のレビュール街道から個人的な考えを書かせてもらいました。

 

※ゼドラ族とレビュール族との対立、盟友という概念の誕生などについて考えを書いた過去記事です。

kyuroinu.hatenablog.com

 

 

以前書いた記事の中で、神聖ゼドラ王国の建国時に支配層から排除されたレビュール族はアシュレイなど勇者や王家に連なる者たちの埋葬や慰霊の祭祀を執り行う事で王国内の権威と権力を増していきその事がレビュール街道の発展と現在の荒廃に現れているのではないかと推測しました。

 

また、「盟友」という存在もゼドラ族とレビュール族の対立の中で生み出されたのかもしれないと考えているので、その過程でレビュール族の族長の息子として育てられたアシュレイを勇者として祀ることを禁止されたのではないでしょうか。

 

レビュール族に対する弾圧の始まりです。

 

そして、神儀の護堂といった魂を祀る施設は禁呪の保存という目的以外には使えないように入り口を封印され、四術師のような限られた賢者に管理されるようになったと考えます。

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1000年前の遺跡地帯

ですが、レビュール族のアシュレイへの信仰が禁止されたからと言ってすぐに変わるわけではなかったのかもしれません。

禁止された信仰と大魔王軍と戦ったアシュレイやレビュール族の魂を祀る場所として地下に秘密の礼拝場所となる「神儀の間」を造ったのではないでしょうか。

 

そこで密かに慰霊の祭祀や祈りを捧げていた事でしょう。

 

そこでの祈りがもしかしたらミステリピラーのようなモンスターを生み出した原因となったのかもしれません。

邪神の神殿を支えた柱というのは、弾圧した側から見た時に邪教徒だという考えに基づいた豆知識の記述なのではないでしょうか。

 

以上が遺跡地帯とその周辺に住む人々への弾圧の一度目です。

 

レビュール街道周辺への弾圧は少なくとも二回はあったのではないかと考えています。

 

 

遺跡破壊と盟友カミル

1000年前までは封印されているとはいえ神儀の護堂は健在で遺跡自体も手入れされていたようですが、現在では護堂への入り口は崩れ遺跡地帯自体も木の根が壁を這うという廃墟と化しています。

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現在の遺跡地帯

この様な状態になっているのは1000年間放置されたからではないような気がします。

 

レビュール地域は街道が王都まで延び、他国からの使節団や商人たちも陸路で移動する上では必ず通るといっていい場所のはずです。

そんな重要な地域が1000年間荒れるがままに放置され続けた状態が現在なのでしょうか。

 

放置された結果が現状なのではなく、王国によって神儀の護堂入り口や街道の遺跡地帯周辺の建造物は破壊され見せしめとしてあえて現在まで放置されているのではないでしょうか。

 

それは誰の命令でなにがきっかけだったのか。

 

命令を下したのは「ジュテ国王」「エメリヤ妃」、原因となったのは「盟友カミル」の裏切りであると考えます。

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怒りと悲しみの八つ当たり

ジュテ王とエメリヤ妃は1000年前のグランゼドーラ王国の国王と王妃です。

ふたりは当時の勇者アルヴァンの両親でありました。

勇者アルヴァンは大魔王ネロドスとの戦いで禁呪「邪魂の鎖」を使用した事で呪われ自分自身を王家の迷宮に封印してしまうという悲劇的な最後でした。

 

この原因を作ったと思われていたのが当時の盟友カミルです。

 

盟友カミルはネロドスとの決戦前夜にアルヴァンの許嫁であるヴィスタリア姫の従者であったヤスラムと駆け落ちをし自らの使命を放棄したと思われていました。

 

ver.4.1で主人公とキュルルが歴史に介入したことでカミルへの誤解は解けヤスラムの正体も魔軍十二将の一人、智将ジャミラスであったと判明します。

 

主人公が歴史に介入する前までは盟友カミルの名誉は傷つけられその勇者の像の隣にあった盟友の像も破壊されていました。

そして、勇者アルヴァンが使用した禁呪は元々は盟友カミルが使用するために神儀の護堂から持ち帰ったものでした。

 

歴史介入の影響がどの範囲まで未来を変えてしまうのかはよくわかりませんが、現在のレビュール街道・遺跡地帯・神儀の護堂入り口の破壊は盟友カミルが裏切ったと思われていた当時の結果なのではないでしょうか。

 

ジュテ王とエメリヤ妃の行方不明となったカミルへの怒りは彼女が使うはずだった禁呪を保管していた神儀の護堂やその周辺へと向けられたのではないでしょうか。

 

本来であれば勇者アルヴァンを助けるために盟友カミルが邪魂の鎖の術を使い呪われ犠牲となるはずでしたし、それが当時の盟友の使命だったはずです。

 

勇者であると同時に王国の跡継ぎであるアルヴァンが犠牲とならなくてはいけなかった事実とその禁呪という存在への怒りもあり神儀の護堂とその周辺も破壊されたと推測します。

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現在では入れない神儀の護堂

勇者を犠牲とするような禁呪を保管していた施設・信仰は邪教であり徹底的に排除すると兵士に命令が下ったことでしょう。

 

その周辺に住み細々とでもレビュール族としての歴史や信仰を守っていた人たちがいたとすると彼らにも大きな被害が出た可能性もあります。

 

これが二度目の弾圧です。

 

そして、裏切ったカミルとアルヴァンに呪いをもたらした禁呪を守っていた者たちへの見せしめとして破壊された遺跡は現在まで放置されていと考えます。

 

古跡の井戸の中も激しい弾圧から隠すために利用できなくなりやがて忘れ去られた存在になってしまた可能性があるかもしれません。

 

無人で長年放置されていた故にウィーヌムという本当に邪悪な存在に隠れ家として利用されるという皮肉な結果となったのでしょうか。

 

街道を通る者たちは王家を怒らせるとどんな仕打ちを受けるのかを目にしながら街道を往来することとなったことでしょう。

 

 

最後に

長くなりましたが、レビュール街道の過去と現在を見比べモンスターの存在などから

  • ゼドラ族がレビュール族を弾圧するために邪教徒と決めつけた
  • レビュール族はレオーネ達への祭祀を守るために「神儀の間」を造った
  • ミステリピラーはレビュール族の祈りの中で生まれたのではないか
  • 1000年前カミルへの誤解から遺跡地帯は最終的に破壊された

となるのではないでしょうか。

相変わらず妄想強めです。

 

そもそもレオーネが本当に石化されたまま死んだのか勇者と盟友の関係などまだまだ不明なことが多いので今後判明することもたくさんある事でしょう。

 

ver.5.4ではver.1時代からの未回収だった部分をかなりあっさりと説明していたりするので書いたようなドロドロとした話などは無い可能性の方が高いでしょう。

 

それでも、古跡の井戸の中で神儀の間を見た時に考えてしまったのです。

 

地下に隠してまで何を祀ろうとしたのかそして何を祈ったのかと

 

神儀の護堂では自らの魂を犠牲とし名前を捨ててまで秘術を使用した人々の魂が祀られていました。

 

カミルはアルヴァンのために秘術を使おうとし、アルヴァンはカミルのために自分が犠牲となりました。

きっと歴代の秘術を使った人たちも同じように愛する人のため、守りたい人たちのために秘術を使ったのでしょう。

 

例え名前は忘れ去られてもその思いを人々は知っていたからこそ地下に隠してでもその魂を祀り祈る場所が必要だったのだと思います。

 

邪教徒たちは地下の神儀の間で歴史から名を消され忘れ去られた人たちのために祈っていたのだと思います。

 

それがレオーネや歴代の勇者であってもそうでなくても魂を捧げ人々のために尽くした人たちがいたからこそ自分たちがあるのだと忘れないために。

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今回はここまで

 

 

5.4ストーリー 終えて気になったこと

ver.5.4ストーリーをクリアできました

今回はその感想とそれ以外でも気になったことについて書いてみたいと思います。

以下ver5.4ネタバレを含みます

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イルーシャ・ナラジアの正体

イルーシャとナラジアの正体は神話時代にルティアナによって創られた双星であり、

それぞれがイルーシャはルティアナの依り代として、ナラジアはジャゴヌバの依り代として鏡合わせの秘儀によって封印されていた存在だったと判明します。

 

この双星は、夏彦星織姫星のように並んで見える星を「双星」という事から来ていると思われますが双子を指す「双生」ともかかっていると思われます。

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双星とその間の何か

 

星というとドラクエⅨの天使の存在を思い出します。

 

ドラクエⅩとⅨの世界は繋がりがあると思われる事が神話篇・破界篇などで数多くみられます。

イルーシャとナラジアは見た目は人間の姿ですが、人間の種族神であるグランゼニスによって創られたのではなくルティアナ自身によって創られたという事から、二人はもしかすると双子の天使のような存在だたのかもしれません。

 

今までイルーシャの正体は邪神によって記憶を封印された創生の女神ルティアナであり、ナラジアの正体はルティアナが自分の似姿として産んだ人間の種族神グランゼニスなのではないかと予想していましたがそれは大外れの結果となってしまいました。

 

kyuroinu.hatenablog.com

 

 

今回で二人の正体が明らかになったわけですが、ルティアナが双星を創った理由が「鏡合わせの秘儀」の為だったのか他にもあったのか、ジャゴヌバの肉体が復活をしかけてるからといって「神魂融合の儀」を行えばルティアナだけでなくジャゴヌバも完全復活すると知っているはずなのにそれを強行したのは何故か。

単純に勝てるはずだと甘い計算だったのかそれともまだ明かされていない秘策があったのかといった謎もあるわけですがそれらはver.5.5で明らかになるのかもしれません。 

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ナラジアの台詞で

「光あるとこに 必ず 闇はある。」

 

「でも 闇があるところに

必ずしも 光はあるだろうか?」

 

これは個人的にとても気になります。

 

光があって闇があるのではなく、闇が先にありそこに光が生まれたというとらえ方をしてみるとジャゴヌバとルティアナの関係性とジャゴヌバの正体は誰なのかが自分の予想と一致するかもしれないと少し期待してしまいます。

 

 

七柱の邪神と六聖陣

七柱の邪神が判明しました。

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七柱の邪神

戦禍・虚無・暴虐・禁忌・嘲弄・怨嗟・渇欲の七柱の邪神でアストルティアの七種族神に対抗するために生み出された存在です。

 

暴虐の邪神ダビヤガ竜族の神ナドラガと、禁忌の邪神ヤファギルはエルフの神エルドナと、嘲弄の邪神ピュージュプクリポの神ピナヘトに対抗する目的で創られ、ランドン山脈に封印された戦禍の邪神はオーガの神ガズバランを倒すために生み出されそしてガズバランに敗れ封印されたようです。

 

残りはカルサドラ火山に出現した渇欲の邪神とシエラ巡礼地の出現した怨嗟の邪神ですがこれはドワーフの神ワギとウエディの神マリーンに対抗した存在でしょう。

 

残るは虚無の邪神だけとなりますが配下の封魔フォーゲルはすでに登場しています。

種族神としては人間の神グランゼニスに対抗するために生み出された存在となるはずですがver.5.5で登場することになるのでしょうか。

 

またピュージュについても約500年前のレイダメテス出現の時に女神の祠から抜け出し現在まで戦禍の邪神を復活させる目的で暗躍していたと判明します。

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盾島の魔界の門を開いたのは、ジャゴヌバ復活・大魔瘴期の実現のために誰かを魔界へ呼び込むことが目的でバルディスタを唆し侵攻させたのは真の目的を隠すための目くらましだったのではないかと予想していましたがそれも大外れとなりました。

 

kyuroinu.hatenablog.com

 単純に争いが広がれば戦禍の邪神が復活するからという理由だったようです。

 

 

六聖陣についても色々と判明しました。

 

六聖陣は世代交代しますが天命から解放されるのでかなりの長寿となるようです。

 

戦闘聖母は双子だった姉と年を重ねる速度が明らかに違いますし、魔封剣姫は古代オルセコ王国時代から1300年以上生きています。

天唱楽師は弟子の天奏士と今とは違い古い時代のウエナ諸島を守る存在だった「シェルナー」の任命を行っていた事からかなりの長命のようです。

 

現在まで何代の六聖陣がいたかはわかりませんが極天女帝のように肉体が変わっても記憶を入れ替えて神話の時代から存在し続ける特別な立場もいるようです。

 

また、戦闘聖母の本名も判明しました、テンペランスという名です。

テンペランスは人名にも使われるようですが、タロットカードの大アルカナの一枚

節制( Temperance)が有名かもしれません。

 

もし、タロットカードに由来する名前だとするなら戦闘聖母の双子の姉ディオワンデとその孫メイジェンもタロット由来の名前かもしれません。

 

メイジェン魔術師(The Magician)から来ているのかもしれません。

ディオワンデデュオ(Duo)ワンド(wandsで二人組の杖という意味かもしれません。Duoは双子であることwandsはタロットの小アルカナの杖・棒から来ています。

 

六聖陣でほかにも本名が判明しているのは魔封剣姫のモルガンですが、こちらはアーサー王の物語に登場する「妖精モーガンもしくはモーガンと同一視されるケルト神話の戦の女神「モリガンから来ていると思われます。

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声が思ってよりシブかった魔封剣姫さん

 

モルガンはゲルト海峡の出身ですからケルト神話から来ている考える方が自然かなとも考えています。

 

六聖陣についてもver.5.5でさらになにか判明してくるかもしれません。

 

 

その他

今回判明した事で他に気になっているところは

 

賢者マリーンが叡智の冠全員と顔見知りで会った事

「最後に会ったときは まだ 若造だったのにさ。」

と発言しています。

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叡智の冠の中で年齢がはっきりとしているのは現在67歳のホーローですが、約300年まえから生きている賢者マリーンと約200歳の賢者ルシェンダ

この3人が顔見知りという事はマリーンが魔界へ旅立ったのは少なくても60年ほど前となると思われますが賢者マリーンは魔界でゼクレス魔導国の国王時代のイーヴと面会していたことも元王宮魔術師だったゴレッポから教えられます。

 

イーヴ王は約300年前のヴェリナード王国を訪れていますが王位を追われ幼いアスバルを連れてアストルティアへの亡命を図るが失敗しアストルティアで死を迎えます。

 

現魔王のアスバルが幼く記憶がない頃といえば今より少なくとも200年以上前ではないかと考えてみるとマリーンは300~60年ほど前まで魔界とアストルティアを行き来していた可能性があるという事になるかもしれません。

 

 

ネクロデアの技術は盗まれていた

ファルクスによってネクロデア鍛冶技術はすでにバルディスタに持ち去られ利用されていたと判明します。

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伝説の鍛冶職人レブロさん

これは個人的にはちょっとショックな話でした。

熟練鍛冶職人しか扱えなく、王国も職人たちも命がけで製造法を守っていったネクロダイトと溶鉱炉などの鍛冶技術がいともたやすく技術として再現されてしまい更に伝説の技術書も伝説の鍛冶職人レブロから主人公が大魔王だという理由で一戦した後簡単に手渡されてしまう。

 

この技術書をネクロデアを滅ぼしたバルディスタ要塞の鍛冶職人の手に渡りまたすぐに再現されてしまう。

 

なんだか戦争の遺恨やわだかまりなども一切飛ばしてまるで二国が争った事など無かったことかのような展開で腑に落ちない終わり方でした。

 

ただ、レブロの発言などからマデサゴーラが大魔王として戴冠を受けた時期がある程度絞れてくる可能性も出てきました。

 

それに関しても個人的に考える部分があるので其の辺りはまたいつか書けたらと考えています。

 

 

最後に

1月21日にようやくストーリーをクリアでき取り急ぎ気になったことなど書かせてもらいました。

 

書ききれなかった部分もありますしメインのストーリー以外にも魔剣士の職業クエストで訪れた場所がとても気になっていたりしています。

 

その辺は時間の余裕があるときにまた書ければ

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怪獣が喧嘩してる!逃げろー!

今回はここまで

 

神を待ちながら

いよいよせまってきたver.5.4へむけてこれまでのストーリーとPVをふまえて、今まで自分が書いてきた予想を振りかえってみたいと思います。

以下ネタバレを含みます!

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ゴッドを待ちながら

 

神の覚醒

ver.5.3の最後で示唆されたように異界滅神ジャゴヌバに対抗するために創世の女神ルティアナがいよいよ復活しそうです。

 

既に公開されたPVでも弓を持った女性が最後に登場しますが、それがルティアナだろうと思われます。

また、その見た目がドラクエⅨの女神セレシアに似ていることからルティアナとセレシアが同一人物説の立場をとっている私としてはそれが明らかになるかもととても楽しみです。

 

先日第六話が公開された「破界篇」でもドラクエⅨの世界との繋がりが出てきましたのでより明確に、ドラクエⅩの世界がドラクエⅨより未来の話であるということがはっきりと語られるかもしれません。

 

しかし、神の覚醒であってルティアナの覚醒と書いているわけではありません。

 

神はルティアナの他にもいます。

異界滅神ジャゴヌバも復活をしようとしています。

神の覚醒というタイトルからルティアナだけではなくジャゴヌバも覚醒するのかもしれません。

 

そうなれば「神々の覚醒」となるようなきもしますが、もしver.5.4で覚醒するのはジャゴヌバだけとなってしまったら最悪の展開かもしれません。

 

PVの中では、イルーシャとナラジアの二人で「しんこんゆうごうのぎ」を執り行う事でルティアナが復活すると語られています。

 

「しんこんゆうごうのぎ」を漢字にすると「神魂融合の儀」となるのでしょうか。

 

もう一つ、PV中では女神ルティアナは「鏡合わせの秘儀」で滅びの神を封印を試みたと、語られています。

 

この「しんこんゆうごうの儀」「鏡合わせの秘儀」は双方が深い関係があると考えられますが次ではそれについて

 

二つの儀式

現在わかる流れとしては、神話の時代に女神ルティアナは「鏡合わせの秘儀」によって滅びの神を封印しようとした。

ジャゴヌバが復活しかけた今、イルーシャとナラジアの二人が「しんこんゆうごうのぎ」を行うことでルティアナは復活するという事のようです。

 

PVの映像では、「鏡合わせの秘儀」ではルティアナらしき姿と邪神らしき姿が向かい合った絵が映っていました。

 

鏡合わせという事は、そこに映るのは反転した世界。

自分とよく似た姿だが反転した存在があることが封印と関係があるのでしょうか。

 

ルティアナと邪神・聖と邪・光と闇

ver.1のドルワームの話でもあった魔瘴石が太陽の石に反転されたように、ドラクエⅩの世界では一見相反するような存在が実は同質性や同じ根源に由来するという事は示唆されているのでもしかするとルティアナと邪神も反転しうる存在だということもありえるのかもしれません。

 

反転した存在ですぐ思い浮かぶのは、イルーシャとナラジアです。

ふたりは瓜二つの見た目ですが性別が違います。

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よく似た二人

この二人が反転した存在だと考えた場合、PV中のナラジアの様子からもナラジアが邪神であると見えるような作りになっていますので、その反転した女神ルティアナがイルーシャとなるのいでしょうか。

 

 

そうなると「鏡合わせの秘儀」が何となく理解できるような気がします。

鏡に映った反転した存在のようにお互いを反転した世界に封印しあうことが目的の儀式なのかもしれません。

 

イルーシャがゴダ神殿の魔瘴石で出来た像の中から出てきたことから、ルティアナは自分を魔界に、邪神はアストルティアにと、お互いを封印しあったとしたらナラジアがアストルティから魔界へ来た理由、そしてピュージが盾島の門を開いた理由が説明できるような気がします。

 

以前書いた記事の中で、ピュージュが魔界の門を開いた意味がよくわからないと書きました。

魔界からアストルティアへ侵攻するのが目的ではなく真の黒幕がアストルティアから魔界へ渡ることが目的ではないかと考えていましたがそれに該当しそうな人物が出てきていない。

よって魔界の門を開いた理由は盟友である主人公を魔界へ招き入れ勇者と分断することが目的なのではないかと記事の中では書きました。

 

魔界への門を開いた目的はナラジアを魔界へ渡らせることだったのかもしれません。

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それが目的だったのか!?

しかし、ナラジアを邪神だと考えるとルティアナを復活させるための「しんこんゆうごうのぎ」の意味は無くなってしまうように思えます。

 

ルティアナであるイルーシャと邪神であるナラジアが融合してルティアナが復活するというのはおかしい気がします。

 

復活するのはルティアナだけでなく邪神も復活することになるでしょうし、そもそもジャゴヌバ神殿の最深部のアレは何なのかという話にもなってしまします。

 

実際にアプデ後のストーリーをやってみれば判明するとは思いますが現時点で色々予想してみるのが楽しいです。

 

 

今までの予想

これまで妄想のままに記事を書いてきましたが、ver.5.4で明らかになるかもしれない事とそれに対する今まで書いてきた予想を簡単にまとめておきたいと思います。

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創世の女神ルティアナとは

ルティアナの正体はドラクエⅨの女神セレシアである。父神ある創造神グランゼニスから万物創生のチカラを受け継ぎ旅の果てにアストルティアを創世したと考えています。

よって、ドラクエⅩの世界はドラクエⅨの世界の遠い未来の別の場所の話だと考えています。

 

異界滅神ジャゴヌバとは

ジャゴヌバの正体はドラクエⅨの世界の創造神グランゼニスではないか

グランゼニスは人間を滅ぼそうと考えた神でしたが娘であるセレシアに諭され一旦は思いとどまっていましたが、娘や人間との和解がないまま体をバラバラにされ封印されてしまいました。

人間を滅ぼそうとしたようなグランゼニスの妄念の一部が邪神となり娘であるセレシアを追いかけセレシアがルティアナと名を変えて創世したアストルティアを滅ぼそうとしているのではないかと考えています。

 

いばらの巫女イルーシャとは

イルーシャの名前はロシア語の女性名イリーナの愛称であり由来は古代ギリシアの平和の女神「エイリーネー」

ジャゴヌバ神殿のタイル絵でルティアナが弓を持っているようにダビヤガとの戦闘でイルーシャも弓を使っていたのも偶然ではないはず。

よってイルーシャの正体は女神ルティアナではないかと考えています。

  • ただし今回の予告PVで「しんこんゆうごうのぎ」でルティアナが復活するとありましたしルティアナが復活するとイルーシャが消えてしまうような雰囲気もありましたのでそこあたりがとても気になります。

 

ナラジアとは

ナラジアの正体はドラクエⅩの人間の種族神グランゼニスではと考えます。

イルーシャと似ているのはルティアナが最も特別扱いしている末子グランゼニスを自分の似姿として産んだからではないか。

ドラクエⅨの創造神グランゼニスと同じ名前なのはルティアナの父に対する思いから来ておりもしかするとグランゼニスの理性のような一部を元に生み出されたのかもしれない。ふたりのグランゼニスは祖父と孫のような関係であるが魂の一部を共有していたとしたらジャゴヌバになり果てた祖父により操られている故に苦しんでいるのかもしれないと考えています。

  • 予告PVでのナラジアは邪神感がすさまじい事になっていますね。一応予想を変えるつもりはありませんがナラジアがジャゴヌバの本体だったりナドラガ神と総主教オルストフのような切り離された体の一部だったという展開はありそうだなと考えています。

 

大魔王マデサゴーラとは

今回のストリーでマデサゴーラについて掘り下げられることはなさそうですが、マデサゴーラの姿が現すものは彼が太陽神の化身であり、大洪水のような大絶滅期を乗り越えた魔族の証であり邪悪な竜を払うという創世の女神に挑むにふさわしい存在でした。

マデサゴーラについての考えを書き残したいというのがブログを始めたきっかけだったのでつねに気になっています。

また、彼の後継者にふさわしい資質をもった存在が現在の魔王の中にも一人存在していますが今後、魔界と大魔王という制度がどう変容していくかとても気になっています。

 

 

他にも気になるところ

メインストリー以外にも気になるものはたくさんありますがどうしても気になる二つを

 

ヴァルザードとユシュカの関係

顔壁にも顔を刻まれた大魔王ヴァルザードですが彼の死後、後継者たちによる悪政が祟り海運都市ザードは滅びてしまします。

 

その後、魔王ユシュカによってファラザードが建国されますが顔壁に彫られたヴァルザードの顔は角の形も含めユシュカにそっくりです。

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もしかしたら血のつながりがあるのかもしれないと期待しています。

 

ジャゴヌバ神殿の強大な骨

ジャゴヌバ神殿に巻き付くように朽ち果てた強大な骨を見ることができますが、とても長い背骨のように見えます。

今までも登場してきた巨大は骨といえば、

  • デマトード高地にあるグレナイルのものと言い伝えられている骨
  • ラクロン山地にある巨大な飛竜たちの頭部と思われる骨
  • ナドラガンドの氷の領界で横たわるナドラガ神のものと思われる背骨

どれもドラゴンの骨だと思われるものが多いと思われます。

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巨大な背骨?

魔界にありなおかつジャゴヌバの正体をドラクエⅨのグランゼニスではないかと考える立場からするとこの骨の正体はⅨに登場した闇竜バルボロスなのではないかと思えてしまいます。

 

光のグレナイル・闇のバルボロスという対の存在ですので鏡合わせの存在として魔界にバルボロスの骨があっても不思議はない気もしています。

 

グレナイル・バルボロスともう一人「聖なる心のアギロゴス」が存在していたとドラクエⅨでは語られますが彼はおそらく「聖天の使い」としてアストルティアに飛来してくれています。

 

他にもカーロウの正体が初代魔仙卿なのではないかとか、ピュージュは七柱の邪神の一人なのかとか気になるところはいくつもあります。

 

 

最後に

とにかく楽しみなver.5.4ですがルティアナと共にジャゴヌバの正体が明らかになるのが一番期待しているところでもあります。

 

ジャゴヌバ神殿の壁のタイル絵に描かれたジャゴヌバは牡牛の姿をしています。

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肩から角生えてるからジャゴヌバの正体はオーガかも!

牡牛は古代ヨーロッパでは大変崇拝されていた動物でしたがキリスト教の普及とともにその地位は奪われ悪魔の象徴と変えられていきました。

 

前回書いた破界篇のクマリスの名前の由来についての記事で、熊も同じように地位を奪われ悪魔の象徴とされた動物ですが、熊は主にヨーロッパでも北部で王の象徴とされた動物でした。

それに対し、牡牛は地中海世界全般で神格化された生き物でした。

 

特にペルシャ発祥でローマでも広まったミトラ教では太陽信仰と牡牛信仰が結びつき、牡牛の血は洗礼に使われ、肉は力と生命力を戦士に与えるとされていたようです。

 

しかし、キリスト教の普及により血は有毒なものとされサタンや反キリストと結びつけられていったようです。

 

つまり熊と同じように、いやそれ以上に神聖性を失い悪魔性を与えられた存在だといえるのです。

 

キリスト教や古代ヨーロッパの神話がドラクエの世界観に大きな影響を与えていることは多くの考察勢が指摘している事ですので、牡牛の姿でジャゴヌバが描かれているということ自体に意味があるのではないでしょうか。

 

ジャゴヌバは嘗ては神聖な存在だったが、何らかの理由で邪悪な存在になった、もしくはされてしまったのかもしれません。

 

だとすれば神聖な存在だった時のジャゴヌバとは誰だったのかとなりますが、それはいまだ登場していない存在かもしれませんがやはり個人的にはドラクエⅨのグランゼニスなのではないかと考えてしまします。

 

ver.5.4「神の覚醒」楽しみです。

神は今日は来ないが明日にはやってきます。

 

 

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洞窟の影絵は北極星となった  破界篇を終えて

破界篇第六話を終えて、クマリスの名前の由来やver.2からの偽レンダーシア世界とは何なのかなどについて考えを書いていきたいと思います。

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以下ネタバレを含みます

 

過去作とのつながり

破界篇第六話の最後で護りの手の選定者であるファビエルと滅びの手の選定者であるメドナムの正体は天使であると明かされました

その見た目からドラクエⅨの天使であると考えられます。

 

すでに神話篇で初代王者とグレナイルの存在がある事でドラクエⅨの世界との繋がりはありましたが破界篇でより一層明らかになったといえます。

 

また、予告として公開されたver.5.4の動画で復活した創世の女神ルティアナと思われる弓を持った女性の姿がドラクエⅨの女神セレシアとよく似ていることからもメインストーリー自体も過去作とのつなりが強調されてきたように見えます。

 

ただ、ドラクエⅨではセレシアの復活を成し遂げたあと天使たちは天に還り星となったわけですがその後も天使たちはⅨの世界やアストルティア以外に対しても破魂の審判を行ったりする役割があるかのような展開でした。

 

メドナムの台詞で「許可はとってきた」とありますので天使もしくは彼らを使役する何者かの存在があるという事になるのだと考えると、それは誰なのかなど多くの謎が残ります。

 

スライミーズも居なくなりますが、彼ら?が最も正体不明でした。

 

ファビエル・メドナム・クマリスの名前の由来は

ファビエルとメドナムに関しては以前に書いた記事の中で名前よ由来を予想していましたが破界篇を終えてみてその予想はどうだったのか。

 

ファビエルの関しては正直当たっていたのかは分かりません。

その後名前の由来になるヒントを見つけられなかったからですが今後も何か考え付けばその時はまた書いてみたいと思います。

 

メドナムに関しては当たっていたのではないかと考えています。

メドナムの由来に関わるヘルファイヤークラブ(地獄の火クラブ)という秘密結社が過去に存在した事は以前に書きましたがその創設者であるフランシス・ダッシュウッド男爵は若手政治家や芸術家とひろく親交を持って多くの秘密クラブを運営した人物でしたので破壊の手として芸術家でもあるマデサゴーラを選んだ事からもメドナムの名前の由来は正解だった可能性があると考えますが、それでも正体が天使であったのにその名前にメドナムが相応しいのかは疑問がのこるのかもしれません。

 

過去に書いた予想の記事です。

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クマリスの名前の由来については

ver.2と破界篇の舞台となった偽レンダーシアに関する世界観を説明させてもらってからのほうがよいと考えるので後述させてもらいます。

 

偽りのレンダーシアとは

ver.2や今回の世界篇の舞台となった偽レンダーシア

この大陸は創生の霊核の欠片を手に入れた大魔王マデサゴーラによってレンダーシア大陸を模倣して創られた世界です。

マデサゴーラはこの偽りのレンダーシアで真のレンダーシアを侵食し塗り替え自らが新たな造物主となることを計画していました。

 

レンダーシア大陸を模倣しながらも各所にマデサゴーラ独自の創作が反映されていますし、そこに住む住人はマデサゴーラによって作られた存在や死者の魂が留め置かれていたりと様々です。

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偽りのレンダーシア大陸

この偽りのレンダーシア大陸とドラクエⅩの世界観、少なくともver.2までの世界観の根底にあるものとしてグノーシス主義がある事はver.2当時から考察勢の方々から指摘があったと記憶があります。

 

このグノーシス主義とそれに大きな影響与えた古代ギリシアの大哲学者プラトンの考え方イデア論について、さらにプラトンの弟子であるアリストテレスによるプラトン批判を大まかに理解することが破界篇とクマリスを語るうえで大事と考えますので大雑把にですが書かせていただきます。

 

哲学や歴史に関し理解の深い方からすると間違いだらけとはおもいますがご容赦を

 

グノーシス主義

グノーシス主義はおよそ紀元三世紀から四世紀にかけて地中海世界で大流行した思想です。

古代ギリシア語でグノーシス(νῶσις)「認識・知識」を意味する言葉であり、自らの本質と真の神について本当の認識ができるまでになることを目指す思想です。

 

グノーシス主義にかんしては地中海世界でも西方と東方で独自の思想や宗教に発展したり地中海世界以外にも伝播していますし、あくまでもキリスト教内での異端の一派という考え方をとる説もあったりとで細かくは書けませんが、その特徴は

 

物質と霊の二元論という部分にあります。

 

我々が生きるこの宇宙は本質的に悪の宇宙であり、神々が善の存在だという教えは間違いであるとグノーイシス主義では考えていたようです。

 

何故ならば、我々の生きる宇宙は現に悪がはびこっている、神が善なる存在であるならこの宇宙に悪がはびこることはないはずだ、つまりこの宇宙を創ったのは

偽りの神ある」という考え方が基本にあるようです。

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私が神だああああああ!

この偽りの神をデミウルゴスと呼びます。

古代ギリシア語でデミウルゴス( Δημιουργός 職人・工匠という意味のようです。

 

ちなみにこのデミウルゴスドラクエⅦの魔族の王「オルゴ・デミーラ」の名前の由来とも言われています。

 

偽りの神がいるという事は真の神がいるという事になりますが、デミウルゴスは真の神のマネをして宇宙を創ったが偽りの神でしかないのでこの不完全な宇宙が出来上がってしまったと考えられました。

そして、この偽りの神であるデミウルゴスの悪の宇宙で作られた我々人間の「肉体」もその存在は悪であるとされますが、肉体の中にある「霊」だけは真の神を認識するチカラがあるのでデミウルゴスにも勝る存在であると考えられていました。

 

この部分が物質(肉体)と霊の二元論へとつながるようです。

 

この考えをドラクエⅩに置き換えてみると、

真の神は創世の女神ルティアナであり、ルティアナのマネをして偽りのレンダーシアを創ったのが大魔王マデサゴーラとなり、マデサゴーラがデミウルゴスという事になるのでしょう。

そのマデサゴーラによって作り出された偽の勇者である魔勇者アンルシアが勇者として覚醒できなかったのもそもそもが不完全なマネゴトの世界だったからという事になるのかもしれません。

 

次はグノーシス主義に大きな影響与えたプラトンイデア論について

プラトンの考えとそれに対する弟子アリストテレスの批判は破界篇においてもマデサゴーラとクマリスの対立に反映されていると思われます。

 

プラトンイデア論

プラトンは( Πλάτων)は紀元前四世紀ごろに活躍した古代ギリシアの大哲学者です。

ちなみにこのプラトンという名前はレスリング選手だった時代のリングネームだったともいわれているようです。

 

イデア論とはプラトンの死後に彼の考えを研究するうえで名づけられたようでプラトン自身がイデア論という定義をしていたわけではないようです。

イデアとは「見られるもの・姿・形」といった意味で使われていました。

 

プラトンが生きた時代の古代ギリシアアテナイでは相対主義が流行し、善・愛・正義などは時代や人によって変わるものであるからそこに絶対的なものはない。本質的な善・愛・正義はないと考えられていました。

 

それに対しプラトンは、

「本質はある。ただしそれは現実世界ではなくイデア界にある。」

という考えを提唱します。

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美のイデア

良く出される例として三角形のイデアというものが在ります。

完全な正三角形を書くことは誰にもできない。よく見れば線が歪んでいたり角度が微妙に違ったりもっと言えば完璧な線であってもよくよく見ればそれは点の集合体でしかない。この世に完璧な三角形は存在しない事になる。

でも、誰しもが頭の中で正三角形といわれたときに思い浮かべる共通のものが在るはずだ。それこそが三角形のイデアでありイデア界にある本当の正三角形を魂が参照しながら思い浮かべているのではないか。という考えです。

 

つまり、この世に絶対的な・本質的なものなど無いと断言できるのは我々がどこかで絶対的・本質的なものを知っているからこそ無いと言えているのではないとなるのです。

 

イデア界とは魂が還る場所でありそこでの記憶が現世へ転生した我々に残っていて、学ぶ事によって思い出しているのだとする「想起説」プラトンは説きました。

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思い出せないそんなことない少し扉を開くだけです

 イデア界には全てのモノのオリジナルがあり、我々が椅子をみる時はイデア界にある椅子のオリジナルを参照しながら見ているとなるのです。

 

そのイデア界にでは「善のイデアが最高のモノでありイデア界の秩序を形成している存在であるとプラトンは考えました。

 

もう一つ、プラトンは我々の生きる世界を「洞窟の比喩」という形で語りました。

地下にある洞窟に手足を縛られ前しか向けない状態に置かれた人たちがいる。

その後ろには炎が燃えていてその炎と人々の間には人形がある。

その人形が動くと炎の光によって洞窟の壁に影絵として映る。

生まれてからずっと縛られている人々はその影絵が影だと理解できず本当の存在だと思い込んでいる。

その中で一人だけ縄を解かれ外の世界を見せられた者がいっとしたら、その者は最初は戸惑うがこの世の真実を知り洞窟に戻り仲間たちにその事を語るが人々は誰も信じない。

真実を知った者は諦めて元に戻るしかない。最悪嘘を言っているとされ殺されてしまうかもしれないから。

 

この比喩では、炎の前にある人形がイデアであり、壁に投影されたイデアの影が現実世界で我々がみるもの、そして外の世界が善のイデアと考えられます。

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我々が見ているのはイデアの影?

これをドラクエⅩで置き換えてみると

イデア界が真のレンダーシア大陸であり善のイデアがルティアナとなります。

そして洞窟の中が偽りのレンダーシア大陸であり、勇者のイデアが影絵として壁に映ったのが魔勇者アンルシアだっとなります。

偽りのグランゼドーラの人々は魔勇者を本当の勇者だと思い崇めていましたがそれは、勇者の影に過ぎなかったということになるのでしょうか。

 

アリストテレスからの批判とマデサゴーラとクマリスの関係

このプラトンの考えに対し彼の教え子であり後に万学の祖とも言われるアリストテレスは批判しています。

 

イデア界は存在しない。

プラトンは美のイデアは全て人間に備わっていると考えていましたが、この世には醜がある。これをプラトンの考えで説明すると、醜のイデアが存在し完璧な醜であるにもかかわらず美のイデアも内包していることになる。

これでは矛盾がありイデア界の説明ができないと。

 

アリストテレスは目の前にるものをよく観察もせずにあるかもわからないイデア界の事を考えても無駄だと考えたのです。

 

アリストテレスはこの世の全ての物事は四つの要因から成り立つという「四原因説」という立場から、四原因の中の一つ形相因(設計図)の中にプラトンが言うところのイデアは有ると説きました。

 

プラトンは本質はイデア界という別の世界・外側の世界にあると考えたのに対し

アリストテレスは本質は物の中に設計図としてあると考えたのです

 

この師弟での考え方の違いはそのまま破界篇の「滅びの手マデサゴーラ」「護りの盾クマリス」との関係に反映されていると考えます。

 

「滅びの手マデサゴーラ」はマデサゴーラの中にあった芸術家として自らの作品に満足できなかった心を元にファビエルによって作られた存在だと考えられます。

 

未完成で不完全な世界を残したまま死を迎えた無念から偽りのレンダーシア大陸を滅ぼそうと考えたマデサゴーラですが、それはルティアナの創ったオリジナルであるレンダーシアに対しての嫉妬心や憧れがあったように思えます。

つまり偉大な芸術家であるマデサゴーラにとっても世界の創世の手本・設計図の元はルティアナにあったといえるのではないでしょうか。

 

それに対し護りの盾アンルシアとして覚醒したクマリスは魔勇者アンルシアの中にあった世界を肯定する心を元にファビエルによって作られた存在であるので、このマデサゴーラを否定します。

 

元々マデサゴーラにによって作られた存在であった魔勇者アンルシアの魂の一部を持っているクマリスが造物主の考えを否定する。

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否定されて白目むくお師匠さん

プラトンアリストテレスの対立に似ていると感じます。

 

造物主とはいえ偽りの世界とはいえ、すでにそこには生きている人たちがいるという現実を無視し美の答を別の世界に見ていたマデサゴーラと偽りの世界に生まれメルン水車小屋・セレド・アラハギーロで世界を肯定する愛の力を見たクマリスにとっては未完成で不完全な偽りのレンダーシアこそが守るべき・観察すべき対象となった。

クマリスは偽りのレンダーシアで生きる人たちの中に善のイデアともゆうべき美しき本質を見つけたのだと思います。

 

これはイデア界に答えを求めることで現実を理想的な社会に近づけようとしたプラトンと現実世界を観察することに答えを求めたアリストテレスの違いが元になっているのではないかと考えています。

 

 

クマリスの名前の由来

前置きが本当に長くなってしまいましたが、クマリスの名前の由来は

 

クマリス(熊・マリス)クマリス(熊・ポラリスのどちらかもしくは両方から来ているのではないかと考えます。

 

まず、は中世ヨーロッパの世界では失墜した王の権威の象徴であったという考えがあるようです。

旧石器時代から熊の骨は洞窟などに祭られギリシア神話ケルト神話にも重要な存在として登場し特に北欧やゲルマン人にとっては尊敬される王の象徴のような生き物だったようです。

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よだれたらした王様

しかし、キリスト教が普及してくると熊は王の象徴としての権威をはく奪され、悪魔のイメージに変えられ替わりにライオンが王の象徴となっていったようです。

 

魔勇者アンルシアも敗北によって権威を失墜させられてしまった事もありクマリスの名前に熊が付けられたのかもしれません。

 

次にマリスですが、ラテン語「海の(Maris)」という意味です。

キリスト教世界では聖母マリア崇拝として「ステラ・マリス(星の海)の聖母」という呼び名が一般的にも使われることがあるようです。

※この呼び名は聖母マリア崇拝がキリスト教徒にとっての導きの星としての役割を果たしてきたことに由来するようです。

ユダヤ教徒旧約聖書の中のイスラエルを比喩として海に例えていた事も影響しているとされています。

 

さらにこの名称は古くから船乗りたちの天測航法に星座と星にも与えられました。

それはこぐま座のアルファ星である北極星です。

 

またこぐま座のアルファ星である北極星ポラリス(Polarisu)とも呼ばれます。

クマリス(熊・ポラリス)はここから来てると考えます。

 

北極星こぐま座に含まれた星ですので、失墜した王としての意味も含みながらクマリスの名前が表すものは北極星であると考えます。

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あの*は北極星!?

よってクマリスが熊・マリスであっても熊・ポラリスであっても結論としては同じとなります。

ただ熊・マリスだった場合は偽レンダーシアの聖母としての意味合いがポラリスの場合よりも強調されるとも考えられます。

 

北極星は夜の航海で方角を見失わないように旅の無事を願う星でもありました。

マデサゴーラが死に破魂の審判を乗り越え新たな船出となる世界の「北極星」となる存在という意味がクマリスの名に込められているのではないかというのが私の推測です。

 

名前に北極星の意味が入っていると考えると破界篇のクエスト受注場所が偽りのレンダーシアでの冒険の始まりの場所でありグランドタイタス号の到着場所であった漁村ココラタの浜辺という事に納得感が増した気がしています。

 

 

最後に

今回も長いうえにドラクエに関係のない話が多く読んでくださった方には申し訳ありませんでした。

 

破界篇はシドーを倒してからの展開があっさりとしていてクマリスを置いてみんなで逃げちゃたりクリア後も住人たちの台詞が変わらなかったりで、若干消化不良な部分もあったのですがとても楽しめました。

 

それにファビエルの台詞で

「何もかも 偽物の世界で たった一つ......

そこに生きる人々の 魂だけは 物でした。」

 

これは素敵でした。

 

ルティアナへの挑戦者となるためレンダーシアをまねて偽りの世界を創ったマデサゴーラとそこで本物の勇者の代わりとして作られた偽物の勇者だった魔勇者アンルシア

 

洞窟の中で真実を知らない人々が見せられる勇者の影絵としての役割しか果たせなかった魔勇者アンルシアでしたが、その心にあった世界を守りたいという思いがクマリスになり、偽りの世界で生きる人々の愛と世界を肯定する心に触れ、守りの剣として覚醒を果たした。

 

とても感動的だと思います。

 

例え偽りの世界であろうとも、世界の真実を知らないまま洞窟の中で生きてる愚かな大衆であろうともそこには命があり人生があり泣き笑いがあるのです。

 

それを守ったクマリスはもう本物の勇者なのではないでしょうか

クマリスの勇気と献身が偽りの世界の人々にとって北極星のような不動の輝きであり続けますように。

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勇者

今回はここまで

 

 

アスバルの改革は成功するか 親子二代にわたる改革

ver.5.2でお家騒動に見舞われたゼクレス魔導国

現国王アスバルが歴史あるゼクレスの国政改革を成し遂げられるのか、父の代から続く改革について考えてみたいと思います。

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以下ネタバレを含みます

 以前書いたゼクレスに関する記事

kyuroinu.hatenablog.com

 

ゼクレス魔導国の歴史

以前書いた「ゼクレス魔導国といにしえの大魔王」という記事を書いた時点では建国された時代、何人の大魔王を輩出したのかなど不明な点も多くありましたがver.5.3で明らかになったことが多くありました。そこをふまえてもう一度ゼクレス魔導国の歴史をみてみたいとおもいます。

 

ゼクレス魔導国は約7000年前に建国王ワラキウスによって建国されました。

国名はワラキウスの妹であるゼクリアに由来すると思われます。

大魔王として戴冠を受けたのは、初代ワラキウス王・第14代バルメシュケ王の二人です。

第7代ジグネール王は大魔王選定の試練を悠々と攻略しましたが生来の病身により戴冠を受ける前に急死をとげ大魔王となることはできませんでした。

古来より大魔王達がアストルティアへ侵攻するのに使った「魔法の門」と呼ばれる魔術を王家に連なる魔術氏が確立したことにより魔界において特別な立ち位置を獲得していおり、それにより魔導国と呼ばれていると本に記されています。

 

建国王ワラキウス直系の子孫のみが代々国王となっていますが現国王であるアスバルが何代目の王なのかは明らかになっていません。

名前が明らかになっている国王としてはアスバルの父親で先代国王であるイーヴも居ますがイーヴが第15代、アスバルを第16代と仮定すると約7000年の歴史で平均在位期間は430年程度となります。

当然、在位が短かった王もいるでしょうし逆に長い在位を誇った王も居たでしょうからあくまで目安ですが魔族は寿命が人間より10倍以上あると考えられるので人間で考えると43年程度となるのでしょうか。

日本の徳川将軍が265年間で15代なので平均在位39年程度なので7000年で16代というのは妥当な考えかもしれません。

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顔壁にゼクレス出身者は彫られていない

ただ、イーヴを15代として考えるとその父が大魔王バルメシュケとなりますが他国出身の大魔王ヴァルザードとネロドスの間に戴冠した大魔王なのかなど多くの疑問や謎は残ります。

 

イーヴ王時代に起きた内戦の危機

 

ゼクレス魔導国は現在の魔王アスバルの父親である先代イーヴ王の時代に内戦一歩手前まで行くという事態に陥りました。

 

その理由は、イーヴ王が臣下に相談なく外国と国交を結ぼうとしたり身分制度の撤廃を提唱したりと急進的な改革を志したことにより保守的で厳格な貴族政を敷くゼクレス国内で国王支持派と貴族派による分裂が起きたようです。

しかし、イヴ王の妃でありアスバル王の生母である王太后エルガドーラの尽力により内戦は回避されイーヴ王は幽閉されますが生まれたばかりのアスバルを誘拐しアストルティアへの逃亡を企て失敗、アスバルは連れ戻されイーヴ王アストルティアで死亡したとされていす。

 

ver.5.3で登場した元宮廷魔術師サラジャンの話によればエルガドーラ王妃に脅されイーヴ王がゼクレスの城下町に足を踏み入れるとたちまち命を落とすという死の結界を張ったようですが、この結界は後にサラジャンの頼みで主人公が解除するの事になるので実際には発動してなかったと考えるのがいいのかもしれません。

 

イーヴ王らしき人物が約300年前のラーディス王統治時代のヴェリナード王国を訪れていたことはラーディス王の娘であるセーリアが証言していますのでアストルティアへ逃亡したこと自体は事実だったのでしょう。

300年前のウェナ諸島といえば暴君バサグランデが暴れた時期ですがそこにイーヴ王が何かしら関わったのかなどは不明です。

 

イーヴ王アストルティアで本当に亡くなったのか、またどの時期に亡くなりどこに埋葬されたのかなども不明です。

 

イーヴ王が目指した身分制度の撤廃などの改革は現在、エルガドーラ王太后とその弟オジャロス大公を排除した後アスバルによって再び行われようとしています。

イーヴ王は何故急進的な改革を目指したのか、そしてなぜ失敗したのか、アスバルは父の志を実現できるのかについて考えを書いていきたいと思います。

 

何のための改革なのか

イーヴ王の改革はなぜ必要だったのでしょうか。

ゼクレス魔導国は保守的で厳格な貴族政度を持った国ですが、王家は初代ワラキウスから現在まで直系の子孫が統治者として君臨する魔界最古の血筋とも言われ、大魔王となった者が君臨していた国でも一代で滅んでしまうこともあり得る興亡の激しい魔界において約7000年の期間も国家として存続しているということは安定した体制といえるはずです。

 

それでも改革を行うべきだと考えた理由な何だったのでしょうか。

単純に身分制度の無い社会を目指すという理想主義者だっただけなのか、そうではく改革に迫られた何かしらの理由があったからであり、故にイーヴ王の子供であるアスバルも同じような改革を目指しているのではないでしょうか。

 

考えられる理由としては王権の弱体化があるのではないかと考えます。

魔界の歴史は戴冠を受けた歴代大魔王達はアストルティアへ侵攻しますがことごとく勇者と盟友の前に敗れ去っています。

ネロディオス覇王国や海運都市ザードがそうであったように大魔王が死んだあとは程なくして国は内乱に陥ったり王が打倒されています。

これは大魔王が偉大なカリスマ性を持っていたのに対しその後継者が能力不足もしくは後継者自体が存在しなかった事が主たる原因だと考えられますが、ゼクレス魔導国だけは例外的に7000年間国を存続しています。

 

初代ワラキウス王・第15代バルメシュケ王と二人の大魔王を輩出しています。

この両名ともアストルティアで勇者に敗れて死んだと考えられますが国は存続しています。これ以外にも後に大魔王となるヴァルザードと魔界の覇権をかけた戦い「ゲルヘナ原野の戦い」での敗戦など国家存亡の危機は何度かあったと思われますがそれを乗り越えれた理由はおそらくワラキウスに従い建国に尽力した四豪族の子孫をはじめとする貴族達が中心に王家を支持し支えたからだと考えられます。

 

貴族たちが王家を支持した理由は単に王家への忠誠心からくるもではなくゼクレス魔導国が存続しその中で特権的な地位を維持できた方が得策だと考えたからでしょう。

初代ワラキウスの時代なら忠誠心が勝るかもしれませんが、時代が下れば打算的な傾向は強まっていくのではないでしょうか。

 

当然王家を支持する見返りも要求したと考えられます。

実際にイーヴ王の改革をめぐって国内が混乱した時にはそれを収拾するために当時のエルガドーラ王妃は王家所有の領地の一部を大貴族たちに分け与えました。

この様に国難のたびに王家を貴族たちが支える見返りとして王家の所領や権益の一部がその時代の有力貴族たちに分け与えられその結果、徐々に王権は弱体化し王家の財力も減少し大貴族たちの発言権が増大していったのではないでしょうか。

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舞踏会ではよくも...許さねぇ...

もしかするとイーヴ王が即位した時代には大貴族たちの発言権は強大化しすぎて王であっても何も自由にできない状態であったのかもしれません。

もし、イーヴ王の先代が第十四代バシュメルケ王であったと仮定すると「混沌の魔術王」と呼ばれた大魔王の後ですから余計に苦労があったのかもしれません。

 

再び王権を強化するために改革が必要だとイーヴ王は考えたのではないでしょうか。

「ゼクレス王国興隆史」という本の中でイーヴ王が出したのは「貴族制度廃止例」であったと書かれています。

つまり、現在の貴族たちの身分に対する保証などは廃止されるわけですが、王制の廃止ではないわけです。ゼクレス王家は存続し王として君臨し続けるが貴族たちは庶民と同じ立場になるという事がイーヴ王が目指した身分制度改革だったということでしょう。

 

当然これが貴族たちから大きな反発を招く事は必然です。

そこで保守的で厳格な貴族政に反感を持っている国内の層をイーヴ支持派にすると同時に国内を牛居る大貴族たちと対抗し勝つだけの経済力を確保せねばならなかったはずです。

そのために新たな国と国交樹立を画策したのではないでしょうか。

前回の記事の中で、イーヴ王が国交を持とうと考えたのはマデサゴーラが統治していたゴーラ国ではないかと書きましたが、すでに交易が成立していたり大貴族が利権を握っているルートでは新たな財源とはなりません。

 

ゴーラやバルディスタのような新興勢力がイーヴ王の時代に台頭してきたとすれば、王家主導で国交樹立でそことの交易での利益を独占することも可能です。

その相手として偉大な芸術家でありゼクレスの貴族の間でも評価されているマデサゴーラの治めるゴーラは適していると思えます。

 

ゼクレスの価値観では自らの国以外は野蛮と見下しています。ましてや西域という名称で異民族扱いしている魔界西部の国との国交樹立は貴族たちから反感を買いやすいはずですが、厳しい階級制度に不満を持つ層からすれば歓迎されたかもしれません。

 

エルガドーラとの婚姻も

これも想像ですがエルガドーラとの婚姻自体も王権強化の目的だったかもしれません。

エルガドーラの家系は王家の血を引いていないとされています。

ゼクレスで長く大貴族の地位にあれば王位につけなかった王族が興した家と婚姻関係を結んだり養子として迎えるなどという事はあっただろうと想定できます。

 

「ゼクレス魔導国といにしえの大魔王」という記事の中で、王家の宝である「ゼクリアの大皿」「ゼクリアの黄金杯が示す事として、建国王ワラキウスとその妹ゼクリアは近親婚をした可能性があり、ゼクリアはワラキウスの子を産んでいたと書きましたがそれほどまでにゼクレス王家は血統と純血にこだわりがあるのです。

 

そのことはアスバルの容姿にも表れています。

アスバルが変身する白いドラキー。見た目はツンドラキーに似ていますがツンドラキーの豆知識に書いてあるように肌が白いのではなく色が薄いせいで白く見えるのです。

これはアルビノを指している可能性があります。

2003年までスペインで飼育されていた世界で一頭だけのアルビノゴリラであったコピート・デ・ニエベはその死後遺伝子解析で近親交配によりアルビノとして生まれたという事が反判明しました。

つまりアスバルが白いドラキーに変身するという事が、近親婚によって生まれた王族の子孫であることを表していると考えられます。

アルビノは先天的にメラニンの生合成に関する遺伝子情報の欠損によりメラニンが欠乏する個体の事であって、近親交配したからアルビノが生まれるというわけではありません。あくまでコピート・デ・ニエベの遺伝子がそうであっただけで実際には、彼には21頭の子孫が居ますが彼の白い体毛は遺伝していません

 

王家の血が入っていないという事は貴族としては家格が低かったと思われます。

それでも幼いころから弟のオジャロスと共に宮殿に訪れていたという事は家格は低いが何かしら評価されるべき能力や財力などをもっていたのかもしれません。

 

実際にエルガドーラは強大な魔力を有していたので、そういった家格の低い貴族とも婚姻をすることによって大貴族たちの影響力の低下をもくろんだ可能性もあります。

 

もしかした、その真意がエルガドーラに知られてしまったが故に王妃からも改革を否定され王位を追われたのかもしれません。

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赤いは花が意味するのは...

エルガドーラはイーヴから婚礼前に贈られた詩を死ぬまで大事にしていたことからも、イーヴに見初められての結婚は彼女にとって夢のようなものだったのでしょう。

しかし、それが政治的な意図をもっての事だったと知った時の絶望は計り知れないものが在ったのかもしれません。

故に、彼女は夫であるイーヴ王の勢力ではなく大貴族たちの利権を守るために動き改革を潰し夫にそっくりであるアスバルを自分の思うように動かそうとする歪んだ愛情を持ってしまったのかもしれません。

 

イーヴ王がエルガドーラ王妃に対しどういった感情で婚姻を申し込んだのかはわかりません。すべてが政治的な目論見だけであったとも思えませんが、自らが見初めた女性によって改革が失敗に終わったことだけは事実です。

 

アスバルの改革

現国王アスバルは王太后エルガドーラを魔界大戦で失い、その弟で王位簒奪を企んだオジャロス大公を排除したことによって自らの意思で王として歩み始めました。

 

まず彼は平民であっても国の重職に取り立てるというおふれを出しました。

これは先代イーヴ王が出した貴族制度廃止例をソフト路線に変更したと考えられます。急進的な改革を志したがゆえに失敗した父王のようにはならないように彼なりの考えがそこに現れていると思われます。

 

アスバルが父親の改革の方針を受け継いだという事は、ゼクレスが抱えてる問題の根本は今も変わっていないという事なのでしょう。

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考えてるふりのデバリポ

アスバルは自らオジャロスを粛清したことで頼りない王というイメージを覆し一応の民心を得ました。また大貴族であるベラストル家との関係も良好であり外交的にも先の魔界大戦を戦ったバルディスタ・ファラザードの両国との関係を劇的に回復させました。

そればかりか、新大魔王の城でヴァレリア・ユシュカと共に仲良く居住するという状態です。改革の方針だけ出して国政をないがしろにするのは不安ですが。

 

アスバルの改革が成功するかは未知数ですが不安要素もあります。

まずはオジャロスの様に王位を簒奪する事を企むものが出てきたという事態です。

王国の存亡の危機が何度かあったのではないかと書きましたが過去においては大貴族たちも王家を守る事の方が利益になると考え行動していたはずです。

しかし、オジャロスは王家の血を引いていないにも関わらずアスバルに王位の禅譲を迫り魔術による洗脳があったとしてもそれ以前からオジャロス待望論のような空気が市中には確実にありました。

過去には王の外戚などで権勢を誇った貴族なども居た事でしょうがそれでも王位の簒奪まで考える者は存在しなかったのにそれを企むものが現れそれを受け入れてしまうような素地が国内にあったという事です。

 

更にもう一つ、ベラストル家が莫大な財産を築いた方法が大魔王マデサゴーラと癒着によってだった可能性がある事です。

ベラストル家の屋敷の中にはマデサゴーラの依頼でアストルティアを調査した記録に関する日記が残されています。

 

「魔法の門」はゼクレス魔導国の最大の武器であり大魔王達もそれを利用せねばアストルティアへは渡れません。

この魔術がゼクレスを魔界で唯一無二の存在にしているのです。

 

本来であれば王家が厳重に管理しその使用はゼクレス王の許可がなければ利用できないようにせねばならないほどのものはずです。

にもかかわらず、魔界からの来訪者は結構な数いるようですしマデサゴーラもゼクレス王を通さずにベラストル家に依頼していたとすれば大問題なはずです。

 

魔法の門の開き方はすでに多くの魔術師が実践できる程度まで一般化してしまっているのかもしれませんがベラストル家の先代当主のように王家に許可なく商売としてアストルティアへの移動を請け負っておりそれによって財を築くことに王家へ対する罪悪感がなかったとすれば大貴族たちの王家への忠誠心どころかゼクレスへの帰属意識すら薄れているといえるのかもしれません。

 

アスバルが目指す改革が遅すぎたという事がないように願います。

だって、貴族も平民もすでに気づいてしまっているのかもしれないからです。

統治者がゼクレス王家の血統でなくても問題はないという事に。

 

最後に

今回も妄想多めで色々書きましたが初めてゼクレスに来て本棚を漁ったときから何となく理由もないのですがアスバルが古代エジプトのファラオである

ツタンカーメン(トウト・アンク・アメン)と重なるなと感じたのがスタートでした。

 

ツタンカーメンは父親であるアメンホテプ4世がアメン・ラー教団の影響力の増大により弱まった王権を再度強化するために行われた遷都と唯一神アテン信仰による宗教改革を伝統的なラー進行に戻し都も遷都前のテーベへ戻すなど改革への揺り戻しの中で若くして亡くなったファラオでした。

しかも彼の死後は王家の血を引かない将軍や大臣たちが王位に就く事になります。

 

父王の改革に対する揺り戻しの中で王位に就いた若き王、そこがアスバルと重なって見えたのでしょう。

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魔界の中で個人的に一番好きな国はゼクレスです。

もっともっと宮廷内のドロドロとした話が知りたいと常に思ってしまいます。

 

今回はここまで