今回は以前にTwitterに書いたもののまとめですがver.3の登場人物 総主教オルストフについて思うことを...
以下ver.3のネタバレを含みます。
カサカサいってるけど実は…
たゆたう炎に問いかけてばっかりいるもったい付けたじいさんかと思いきや、やっぱりすべての黒幕だった総主教オルストフさんですがこの方にもいろいろと語るべきところがあるんです。
邪竜教祖オルストフとしてその正体を現した時
邪竜なのになんでサソリみたいな見た目なのか、カサカサいいながら歩いてる怖い!と思った方もいたのではないでしょうか。
でも、この見た目こそがオルストフの本質そしてナドラガ神の中での引き裂かれた思いを表しているのです。
青い体の色をしたサソリは二つの側面を表します
- サソリ座は英雄殺しの現れ
- 青いサソリは慈愛と春の象徴
サソリ座は英雄殺し
オルストフはver.3終盤で主人公を殺します。
アンルシアのザオリクでも蘇生することができず主人公が物語上直接殺されるのは冥王ネルゲルに続いて二回目の事でした。
この主人公殺しはさそり座の逸話に由来した展開だと考えられます。
「ギリシア神話の英雄オリオンはその傲慢さから神々の怒りを買い神々がはなった一匹のサソリの毒で死んでしまいました、そしてサソリとオリオンの両方とも星座となった。」
かなり省略してますが、この傲慢な英雄が主人公であり怒れる神々がナドラガ神や大いなる闇の根源のことでしょう。
英雄に死をもたらすものとしてのサソリが邪竜教祖オルストフの姿に現れているのです。
青いサソリは慈愛と春の象徴
また、サソリ座には別の側面があります。
それは中国の考え方で、サソリ座は中国においては青龍に例えられていたようです。
青龍は空想上の生き物ですが、慈悲深く玄武・白虎・朱雀と共に四神の一角であり担当する季節は春となっています。
サソリ座というと夏の星座というイメージが強いですが、一月上旬ころから見え始め三月には全体の姿を確認できるので昔の人たちはそこに春の訪れを重ねていったのかもしれません。
青いサソリの姿は、慈愛と春の訪れを象徴するものということを表しているという事になります。
慈愛はエステラやトビアスを育てたように竜族にとっての優しい父親のような顔をさしているのかもしれません。
では、竜族にとっての「春」の訪れとは何を意味するのでしょうか。
次で、二つの側面と「春」について少し。
二つの側面は引き裂かれたナドラガ神の心そのもの
オルストフの正体はかつてナドラガ神から切り離された体の一部であり「ナドラガ神の意思」そのものでありました。
「人とは自分で自分を救う努力をしない生き物 自ら行動せずに常に何かにすがる 故に人は自らを救えない」
と、ぼくなどは思わず耳をふさぎたくなるようなセリフを吐きますが、この言葉とは反するように、エステラに代表されるような竜族の親としての情などはまだ残っていたようだという事はムービーなどで感じ取る事ができます。
ここがオルストフそしてナドラガ神の心の引き裂かれた部分の現れなのでしょう。
ナドラガ神は兄弟神への嫉妬などから闇落ちしてしまった存在ですが、種族神としての慈愛の心すべてが消えてしまったわけではなかったようです。
そのことはキャラクターズファイル「吼えろトビアス!」のなかでも表現されています。
教団を創立した当初、青龍としてのオルストフが告げるはずだった「春」とは再びナドラガンドを一つに繋げ、ナドラガ神が復活しアストルティアを滅ぼし復讐を遂げることだったはずです。
しかし、長い年月見守り続け竜族の父として育て生きて来たなかでその意味は変わってしまったのかもしれません。
子たちの代表であるエステラが涙を流しながら「さようなら、お父さん」この決別の言葉を受け入れるオルストフがいたのです。
父と子の別れ、神との決別、種族としての巣立ち これこそがオルストフの死という形で訪れる「春」の意味であったのではないでしょうか。
その決断をしたエステラを育てたのはオルストフ自身だったのですから、オルストフ・ナドラガ神も心のどこかでこの結末を望んでいたのかもしれません。
今回はこれで終わり。