ver.5.2の終盤に登場するあるものから大魔王について考えてみたいと思います
ストーリーのネタバレも含みます
大魔王の玉座
ver.5.2の終盤に登場するデスディオ暗黒荒原に建築された城の王座の間にある新しく選定された大魔王の為の玉座。オープニングムービーのなかにもチラッと映りますがこの玉座はとても意味のあるものなのです。
この玉座の形状はそのまま古代エジプトの有翼スカラベを模したデザインになっています。
有翼スカラベとは隼の翼をもったスカラベという架空の生き物の事で古代エジプトでは復活再生・永久不滅のシンボルとして昇る朝日の化身とされていました。
※有名な物としてツタンカーメン王の胸飾りなどにデザインされたものがあります。*1
新しく選定された大魔王が座る予定の玉座が朝日の象徴である有翼スカラベを模しているというのはとても興味深いです。
前回まで三回に分けて書いた「大魔王マデサゴーラについて」この記事の中で先代の大魔王であるマデサゴーラ自身が太陽の化身である可能性について書きましたが、新しい大魔王が座る玉座もまた復活再生のシンボルである太陽と関わっているという事になります。
これについて二つの可能性を考えてみました。
- 新大魔王にはマデサゴーラの野望の後継者となることが求められている
- そもそも歴代大魔王はみな復活と再生の象徴であった
2についてもいずれ書いてみたいとおもいますが、今回は1の可能性について
新大魔王にはマデサゴーラの野望の後継者となることが求められている
大魔王マデサゴーラの野望は創生の霊核を手に入れ創生の女神ルティアナへの挑戦者となり新たな世界の創造主となる事でしたがその野望は勇者と盟友によって打ち砕かれました。
新しく選定される大魔王の為に制作された有翼スカラベを模した玉座は、新大魔王にマデサゴーラの意思・野望を引き継いでほしいという製作者の思いがあるのではないでしょうか。
玉座の制作者はマデサゴーラの孫のペペロゴーラ、彼は祖父を超える芸術家を目指すと同時に祖父への強い憧れを隠し持っているようです。
マデサゴーラの野望について彼が聞かされていたのかはわかりませんが同じ芸術家としての感が本質を察知し、新しい大魔王にも偉大な祖父の後継者となってほしいという思いがあるのかもしれません。
ペペロゴーラは大魔王でありながら太陽神としての性質を持っていたマデサゴーラの次代の大魔王である主人公に友人としてだけではなく、どこか祖父の面影をみて後継者となってほしいと思ってしまったとするなら、マデサゴーラを倒したのが主人公である事を考えるととても残酷な話です。
ver.5.2のストーリー上、新しく大魔王が正式に選定されたかどうかは怪しい展開でしたので主人公が大魔王と呼べるのかは置いておいて*2
実はもう一人マデサゴーラの後継者となるにふさわしい人物がいるのです。
もう一人の後継者
太陽の化身・復活と再生の象徴そんな存在がマデサゴーラと主人公以外にも魔界に一人存在します。
その名は「ユシュカ」ファラザードの国王です。
彼の使う技に「火炎鳥の羽ばたき」があります。
火炎鳥とはおそらくフェニックス・不死鳥*3を指すと思われますが、そのフェニックス自体の由来はエジプト神話の鳥ベンヌから来ています。
ベンヌはエジプト語の「立ち上がるのも」から来ており混沌・原初の海から生まれ太陽と同じように朝生まれ夜に死にまた朝になると生まれるを繰り返すといわれています。
ベンヌは太陽信仰とも深く結びつき復活再生を象徴することからユシュカもマデサゴーラと同様に太陽の化身としての性質を持っているといえるのです。
さらに、混沌から生まれとありますがファラザードは「混沌の新興国」と呼ばれています、そしてユシュカの副官であったナジーンはその最後に
「灰にまみれた旅立ちの日も…ファラザードを興した朝焼けの日も…」
と語ります…ちょっと泣きそう
これはフェニックスが自らが燃え死んだ灰の中から復活するという逸話やベンヌが毎朝生まれるという話から来ていると考えられます。
ユシュカ=フェニックスということをナジーンは言いたかったではないでしょうか。
少なくともナジーンにとってユシュカは間違いなくフェニックス・不死鳥であり滅んでしまった祖国と民の命とともに生き、そしていつか復活の日を待つ心のよりどころであったはずです...もう泣いてます
以上の事から、偉大なる大魔王マデサゴーラの後継者となるべき資格を有しているのは、生き返しを受けナドラガンドという常闇の世界を旅して帰還した主人公だけでなくもう一人いるのだという事になりました。
このことが今後のストーリー展開に関係してくるのかはまだわかりません。
追記
記事はver.5.2のストーリー終了後に書いたもので2020年8月18日に公開したものです。
ver.5.5前期までのストーリーを終わらせた現在
ユシュカは異界滅神に連れ去られようとしている主人公を救うために自らの身を代わりに差し出し深淵の腕に捕まれどこかへ連れ去られてしまいました。
現在ユシュカが主人公を待っている場所は「滅星の邪園」ではないかと思われます。
ユシュカを滅星の邪園に連れ去った深淵の腕(かいな)。
深淵とは水がよどんで深い場所などを意味する言葉ですが、中世ヨーロッパの神秘学のひとつである悪魔学においては人の行きつく最後の場所という意味とされ、そこからヨハネの黙示録に登場するアバドンとイメージを重ねていたという説があるようです。
アバドンとは「奈落の王」であり、ヘブライ語で「滅ぼす者」「奈落の底」のいみとされキリスト教などでは堕天使の一人でありルシファーと同一視されることもあるようです。
奈落は仏教でいうところの地獄を意味し、日本では舞台の下にある空間などを奈落ともいいますが、暗い場所のイメージがあるのではないでしょうか。
現在のユシュカは暗い奈落の底でジャゴヌバを倒す術をみつけた主人公たちがやってくるのを待っている状態だと思われます。
深淵の闇に沈んだ自分を再び照らし救い出す太陽となる主人公をただ待つだけのユシュカなのでしょうか。
追記以前に書いたように、ユシュカも主人公と同じように太陽の化身としての性質をその身に宿しているわけですし彼の友であり副官であったナジーンは彼にその性質を見ていたはずです。
主人公たちの助けも必要でしょうが、ユシュカ自身が太陽として再び輝き深淵の闇から朝日のように立ち上がることが出来るかをver.5.5には期待しています。
それが可能かどうかは、現在ネシャロットでさへ行方をつかめないナジーンの魂が左右するのではないかとも考えます。彼の魂が寄り添う事で再びユシュカの炎を燃え上がらせる事になるのではないでしょうか。
そして全ての物語が終わった時、魔界を去ることになるであろう主人公達と新たに魔界の代表的存在となるユシュカ。ふたつの太陽がアストルティアと魔界を照らすときルティアナによって創生された世界に暮らすすべての種族に新しい夜明けが来るのかもしれません。
今回はここまで