今回はver.5.0の登場人物ヤイルについて
ver.5のネタバレ含みます
ヤイルの生い立ちと当時のバルディスタ
ver.5.0で登場するヤイル
彼の人生は、国境付近の小さな集落出身であり、幼いころ敵国の兵に殺されかけたところをヴァレリアに救われ、それ以来バルディスタに兵士として仕え後にヴァレリアの側近の一人として出世していきました。
そんな彼は主君であるヴァレリアに絶対的な忠誠心を示すとともに、非常に歪んだ幻想を抱いていました。
登場時は青年姿だったヤイルの幼いころというのが何歳頃で今より何年ほど前だったのかは、人間よりも遥かの長寿な魔族の世界では正直よくわかりません。
しかし、ファラザードの本棚に「魔族の年齢と老化現象」という本がありその中で、生まれてから150年ほどが少年期の姿で、200~1000年の間が青年期の姿が多いと記されています。
ただ、見た目の老化現象にはかなり個体差があるようで一概に判断はできませんが通常であるならヤイル少年は150歳前後くらいまでにヴァレリアに助けられたと考えられるでしょう。
約1000年前の大魔王ネロドスの死後発生した戦乱の中で魔界西域を武力で服従させ建国されたバルディスタ要塞ですが建国後も戦は続いたようで現在判明しているだけでも、大きな戦いとしては約200年前にネクロデア王国、そして約150年前にジャムール王国を滅ぼしています。
この他にも小規模な戦闘はあったでしょうが記録がないのでヤイルがヴァレリアに保護される事になった戦争は記録上からはネクロデア、ジャムール、このどちらかとの戦争の時であったと推測できます。
ネクロデア王国との戦争でヤイルは保護された説
ではネクロデアとジャムールどちらの戦争の可能性が高いのかとなると個人的にはネクロデア王国との戦争の方が可能性が高い気がしています。
その理由は彼の出身地と思われる集落の位置と彼の歪んだ考えから。
ヤイルの変身後の姿はゼルドラドなどともよく似ておりおそらく剣魔顕現の使い手であっただろうと考えると、彼の出身と思われる集落はゲルヘナ幻野南部の剣魔一族の集落だったと思われます。
ブログ公開後、剣魔一族の集落はバルディスタによって滅ぼされているとご指摘を頂きました。
ムービーで確認したところ、ユシュカが「この辺りは 武力にモノをいわせて 拡大を続ける バルディスタに 滅ぼされた集落の 跡地だ」と発言していました。
ユシュカがこの時点でバルディスタ要塞をことさら貶める嘘を言う必要性はありませんのでこの発言は正しいと思われます。
よってヤイルが保護された戦争はネクロデア王国とのものではない事になります。
ヴァレリアがヤイルを庇って背中に傷を負っているのでバルディスタ側が侵攻して嘘を言っているともかんがえられません。
ヤイルの出身地はゲルヘナ幻野南部の剣魔一族の集落ではなく、彼が剣魔顕現の使い手である事からも別の場所にあった剣魔一族の流れを汲んだ集落でありネクロデア王国との戦争とは無関係という事になります。
その集落がどこにあったのかはわかりません。
では、ヤイルが保護されたのはジャムール王国との戦争時だったのかとなると個人的には違うと考えます。
この戦争はジャムール王国側の侵略から起こったものであり、戦力差は圧倒的にバルディスタ側が有利であったようです。
防衛戦争という大義名分があり、なおかつ相手は自国より弱い、このようなわかりやすく勝てる戦争でヤイルのヴァレリアに対する歪んだ幻想が生まれてくるでしょうか。
ヤイルの歪んだ考えが生まれてくるには大きなきっかけがあったはずです。
そのきっかけとなったのがジャムール王国との戦争より約50年以上前のネクロデア王国との戦争だったのではないでしょうか。
ネクロデア王国との戦争はヴァレリア政権の危機だった
おそらく記録上残っていない戦争で保護されその恩に報いるため死に物狂いで訓練し鍛え、いかなる任務もこなしてきたヤイルはヴァレリアに対しては神のごとく崇拝し絶対の忠誠を誓っていたことでしょう。
ヤイルはヴァレリアを崇拝するあまり、「孤高で非情かつ氷のように冷たく、強くあらねばならない」という幻想を押し付け最後には月明かりの谷で大惨事を起こし、粛清されてしまいます。
この様な考えに至った経緯には自分の生い立ちのほかに崇拝するヴァレリアが指導者として弱さを露呈した瞬間を目撃したの事があるのではないでしょうか。
それがネクロデア王国攻めの失敗とゾブリス将軍の単独行動です。
ネクロデア王国との戦争がどれくらいの期間続いたのかはわかりませんが、ネクロデア王国の武官屋敷跡の本棚からはバルディスタ要塞を警戒すると同時に防衛に関しては、
「これまで 何度も バルディスタに攻められたが その都度 勇猛果敢な我が軍が退けてきた。」という内容の日記が残されています。
ヴァレリアは何度かネクロデア攻めに失敗しているのです。
ゲルヘナ幻野のネクロデア領入り口付近はバルディスタの大砲が照準を定めています。
おそらくこれはヴァレリアが最初はネクロデアを正攻法で攻略しようと考えていた証でしょう。しかし、ネクロデア王国軍の堅い守りと団結した王国民に阻まれ攻め手を欠き戦争は膠着状態となり半ば休戦状態になったのではないかと考えます。
これはジャリムバハ砂漠の小国家群との交易を経済の中心としていたネクロデア側とすれば警戒しながらこの状態を維持できれば問題はないでしょうが、ヴァレリアにとってはかなり不味い状況のはずです。
自らの圧倒的強さと常勝不敗の魔王として勝ち続けることで求心力を維持しているヴァレリア政権にとっては自らの足元が揺らぐ可能性があるからです。
そこに目をつけたのがゾブリス将軍で、ヴァレリアが落とせなかったネクロデア王国を自分が落とすことができればバルディスタ内で発言力が上がり、場合によっては下克上を起こせたかもしれません。
ゾブリス将軍はネクロデア王国を滅ぼすことは成功しますが結果的にはユシュカとナジーンによって野望を阻まれてしまいます。
ネクロデア王国を滅ぼしたのにゾブリス将軍が行方不明扱いであったことも、将軍の功績を隠蔽する狙いがあったのかもしれません。
その時代にすでに大魔王マデサゴーラが戴冠していた場合は、無断で侵略戦争をしかけたとしてバルディスタ要塞に制裁が下ることを恐れた可能性もあります。
どういう状況であったとしてもネクロデア王国を滅ぼせたからよかったという事ではなく政権維持のためにかなり苦心したのではないでしょうか。
崇拝するヴァレリアが一時的にではあっても権力の危機にあり弱り目であったのを目撃してしまったからこそ、いかなるものであっても弱さとなる可能性があるものは排除せねばならないという歪んだ考えを ヤイルは持つに至ったのかもしれません。
ヤイルの心の風景はバルディスタ山岳地帯のように…
いのちを救われた恩を返すために必死にヴァレリアに仕えた結果、彼の良心は死に最後はヴァレリアによって粛清されてしまったヤイル
思うのですがヤイルの心の風景はバルディスタ山岳地帯のようなものだったのではないでしょうか。
山岳地帯で豊かな土地とはいえないよう見えますが、バルディスタ城内の食堂にいるプリーヴォさんが教えてくれます。
「魔瘴の汚染が 今よりなかった頃には きれいな水と バルディスタ産のホップで
おいしいお酒が いくらでも つくれたのに…。」
大魔瘴期が近づき少しづつ魔瘴が濃くなってきているのかもしれませんがバルディスタ山岳地帯に魔瘴塚はありません。
魔瘴が濃くなってきている原因の一つには兵器として使用していた魔瘴石によって大地が汚染されていったという可能性を考えてしまいます。
かつては豊かだった土地が戦争により汚染され豊かさを失っていった、これと同じようにヤイルの心も崇拝するヴァレリアのために耐え、鍛え、戦争を重ねていくうちにいつの間にか汚染され清らかさを失ったのかもしれません…。
そして彼の良心が死んでいくのを周りは見てみぬふりをしていたのでしょう。
そのほうが優秀で便利だから…残酷ですね。
だからといって彼の犯した罪が許されていいわけはありませんが。
バルディスタ山岳地帯に降る赤い雨はヤイルのように良心を殺しながら生きるしかできなかった者たちの流した血の涙なのかもしれません。
今回はここまで